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ダイヤトーン DS-32B MKII, DS-37B, DS-503, DS-505

ダイヤトーンのスピーカーシステムDS32B MKII、DS37B、DS503、DS505の広告
(モダン・ジャズ読本 ’82掲載)

Diatone

ダイヤトーン DS-32B

菅野沖彦

ステレオサウンド 55号(1980年6月発行)
特集・「’80ベストバイコンポ209選」より

 ダイヤトーンDS32Bは、このクラス(1本5万円未満)としては最大のシステムだ。25cm、10cm、5cm各口径のオールコーンシステムは、同社の長年の技術の蓄積の上に成立った、けれんみのないものであるが、さすがにスケールの大きなワイドレンジの再生が可能で、ハイパワーでドライヴすると圧倒的迫力を十分楽しめる。

ダイヤトーン DS-32B

黒田恭一

ステレオサウンド 54号(1980年3月発行)
特集・「いまいちばんいいスピーカーを選ぶ・最新の45機種テスト」より

 この価格帯のスピーカーでは傑出したものと思う。むろん、大編成のオーケストラが力のかぎり演奏した音楽の迫力を十全にあきらかにしているなどといったら嘘になる。しかし、無理なく、そして誇張感なく、レコードにおさめられている音楽の性格をききてに伝えようとする、このスピーカーのこのましさは、誰もが認めることだろう。ひびきが、すっきりしていて、あかるさのあるがいい。たとえば、❷のレコードできかれるグルダによる強い打鍵の音など、たしかに充分とはいいがたいが、ききてがふみこんできこうとすれば、その音の強さを感じとることができる。❸のレコードでの、充分にひろがったオーケストラのひびきの中央から、声がくっきりときこえるあたりは、なかなか見事だ。さまざまな音に対して、かたよりなく素直に反応するために、安心してつかえるスピーカーということもできるはずだ。

総合採点:9

試聴レコードとの対応
❶HERB ALPERT/RISE
(好ましい)
❷「グルダ・ワークス」より「ゴロヴィンの森の物語」
(好ましい)
❸ヴェルディ/オペラ「ドン・カルロ」
 カラヤン指揮ベルリン・フィル、バルツァ、フレーニ他
(好ましい)

ダイヤトーン DS-32B

瀬川冬樹

ステレオサウンド 54号(1980年3月発行)
特集・「いまいちばんいいスピーカーを選ぶ・最新の45機種テスト」より

 ダイヤトーンのスピーカーに共通の、中音域のカチッと張り出した硬質でクリアーな音が、これはおそらくブラインドテストでも聴き分けが可能であろうほど、特徴的に鳴ってくる。楽器が聴き手のごく近くで鳴る感じ、ないしは楽器を自分でいじる人が納得する傾向の音、ともいえようか。言いかえれば、自然の楽器が、響きの良いホールで鳴ったときの、あの広い空間にどこまでも広がり、漂い、美しい余韻を残しながら消えてゆくあの感じの出にくいところもまた、ダイヤトーンのスピーカー各機種に共通の性格だといえる。トゥイーターの上限がスッと伸び切っていないという感じのする点が、いっそうそのように聴こえさせる。
 その結果、ややハードな傾向のポップス、ないしはアコースティックの楽器でない、電気楽器系の音を多用した音楽を、相当にパワフルに、手ごたえのある音で楽しめるというのが、このスピーカーの特徴だろうと思う。

総合採点:8

●9項目採点表
音域の広さ:6
バランス:6
質感:7
スケール感:7
ステレオエフェクト:6
耐入力・ダイナミックレンジ:7
音の魅力度:7
組合せ:やや選ぶ
設置・調整:普通

ダイヤトーン DS-32B

菅野沖彦

ステレオサウンド 54号(1980年3月発行)
特集・「いまいちばんいいスピーカーを選ぶ・最新の45機種テスト」より

 オールコーンのオーソドックスな3ウェイで、エンクロージュアはバスレフのブックシェルフ型となれば、ダイヤトーンが最も作りなれたフィーチュアで、当然あるレベル以上の信頼感が持てるシステムと予想した。私の鳴らし方がよほど悪かったのか……つまり、使ったアンプなどのマッチングが不幸にして悪かったのか、残念ながらこのシステムは予想に反するものだった。周波数帯域では十分な能力を持つシステムであることはわかったが、全体のバランスは決してよいものではなかった。各ユニットの質的なつながりは、ベテランのダイヤトーンらしからぬものがあるといいたいほどだ。特に指摘したいのはトゥイーターの音で、かなりノイズが目立つ。音も決してしなやかさと滑らかさをもったものではない。ヴァイオリンはトゲが気になるし、ピアノの中域は明らかに不明瞭だ。ジャズでも、ハイハットやシンバルの高域の質感は決して品位の高いものではなく、少なくともジルジャンの音ではなかった。

総合採点:6

ダイヤトーン DS-32B

井上卓也

コンポーネントステレオの世界──1980(ステレオサウンド別冊 1979年12月21日発行)
「’80特選コンポーネント・ショーウインドー」より

優れたバスレフ型の設計では定評がある伝統的な技術を活かし、コーン型3ウェイとしてまとめた製品。クリアーでフラットに伸びたレスポンスと明解な音像定位が特徴。

ダイヤトーン DS-32B

井上卓也

ステレオサウンド 53号(1979年12月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 従来では、大口径ウーファー採用の2ウェイ構成システムで製品ラインアップを形成していた価格帯に、ダイヤトーンが初めて登場させた、3ウェイ構成かつ、エンクロージュアにバスレフ型を採用している点が特長の新製品である。
 25cmウーファーは、独自の NFリング採用の低歪磁気回路使用で、コーンはプレス圧を下げたノンプレス型に近く、ボイスコイルは特殊合成ゴムダンプリング付で、全体に内部損失を増加した設計。10cmコーン型スコーカーは、カテリーナカーブにコルゲーションを配した整合共振型とし、ドライブレス法で造ったコーンと横ゆれに強いV字型エッジ採用。4cmセミドーム型トゥイーターは、小口径コーン型に円錐型チタンセンタードーム採用である。エンクロージュアは、モーダル解析法により100Hz以下で振動発生が少ない木製ダクト付バスレフ型で、従来より奥行きを深くした新設計である
 ナチュラルな帯域バランスと明るく明快な、本来のダイヤトーンサウンドをもつ優れた製品だ。音の粒子は従来より滑らかで反応も速く、正統派の音。