テクニクス SB-10

井上卓也

ステレオサウンド 53号(1979年12月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 スピーカーの位相特性を重視して、フランス系の製品に以前から採用されていた、各ユニットを前後方向にスタガー配置するリニアフェイズシステムを早くから製品化していたテクニクスにとり、平面振動板ユニットの実用化は、通常のフラットなバッフル面をもつエンクロージュアでリニアフェイズ方式を可能とするためには最大の急務であっただろう。
 SB10をトップモデルとする新平板スピーカーシリーズは、振動板材料にハニカム構造体の特長を最大に引き出し短所を抑える巧妙な軸対称ハニカムコアにフィルム状スキンを両面にサンドイッチ構造とし、円形振動板の円形の節を円形のボイスコイルで駆動する理想的な節駆動型である点に特長がある。
 SB10の32cmウーファーは、直径16cmの大口径ボイスコイルで節駆動するタイプ、8cmスコーカーも50・5mm直径のボイスコイル使用で、ともに磁気回路は電流歪低減設計で広いピストン振動帯域を誇る。トゥイーターは定評のある全面駆動のリーフ型で125kHzまで再生可能。エンクロージュアは完全密閉型、板厚25mmの高密度パーチクルボード使用、リアルローズウッド仕上げである。
 SB10は力強い低域をベースに、活気のある中域、爽やかな高域が優れたバランスを保ち、音色が明るい。従来のイメージを一新した新世代の音だ。

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