サテン M-18BX

岩崎千明

週刊FM No.10(1976年発行)
「私の手にした新製品」より

 今まで、何回となく、こんなによくなった、というメーカーの言葉ほどには変わりばえのなかったサテンのMC型。扱いやすさの点で確かに11型になったとき格段の向上をみせて以来、もっとも大きく音の良さを獲得したのがこのM18ではないだろうか。
 少なくとも、豊かさという点で、どうしても突破れなかったサウンドはM17あたりから、かなりはっきりした変わり方で、今までにない「大らかさ」を音楽の中に加えてきている。そして、サテンでは初めてベリリウム・カンチレバーを作ったのがこのM18BX。もともと、くっきりした繊細感という点では、ひ弱な繊細感の多い国産品の中で目立った存在だったサテンだが、中域から低域にかけての力強さが、はっきりと感じられるようになったのははじめてだ。特にBXはその力強さの点では、かつてないほどの迫力を発揮してくれるのがいい。サテンの場合、針圧の許容範囲の点でクリティカルなのが弱点ともいえるが、それも次第に確実に改良されて向上を重ねてきたのも見逃せない。
 カートリッジ自体の重量の重いのは相変わらずだが、あまり極端な軽針圧用アームさえ避ければ十分に使える。ただこれに変えると必ずアームの水平バランスをとり直さねばならない手間が加わる。しかしMC型としては驚くほど出力が大きく、トランスやヘッド・アンプは不要なので手軽だ。

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