アインシュタイン Integrated Amp.

菅野沖彦

オーディオ世界の一流品(ステレオサウンド創刊100号記念別冊・1991年秋発行)
「世界の一流品 アンプリファイアー篇」より

 今年の秋に本邦にデビューしたドイツ製のプリメインアンプである。新しいメーカーの新しい製品を一流品として紹介するのは勇気のいることである。一流品は一流メーカーが作るものでなければならないが、一流メーカーとは一朝一夕に出来上るものとは限らない。もちろん、企業の規模とは無関係とはいうものの、あまりにも経営基盤が弱かったり、不安定であったりすれば、どんなに高邁な姿勢であってもユーザーに不信を与えることは畢竟だからである。また、いかに大資本であっても、その姿勢が営利の追求だけのようなメーカーは、ここで一流メーカーとして扱いたくないし、そういうメーカーの製品を一流品とするわけにはいかない。
 この会社は’87年の創業だから、まだ4年足らずの新しいメーカーだ。ロルフ・ハイファー(技術担当副社長)の開発になる同社の製品は、このアンプの他にチューナー、スピーカーシステムがあり、さらにスーパーD/Aコンバーターを開発進行中である。もう一人の副社長フォルカー・ボールマイヤーはハイファイ事業に経験の豊かな人らしく、この他にもいくつかの製品の開発製造にかかわっているという。社長のゲルハルト・ロルフ・ファン・ベルズワード・ウォールラブが財務担当の資本家らしい。また、管球式アンプやEMTとの提携によるカートリッジ製作など、強いハイファイ志向を持った企業であることがわかる。さらに、アインシュタイン社にはRIFFというレーベルのレコード制作部門もあるらしい。この25mm厚のアルミ削り出しフロントパネルにステンレスケースの美しいアンプを一目見れば、この社のオーディオへのセンスと情熱が理解できるはずだ。8Ω60Wのパワーは1Ω負何400Wまで保証される実力をもったもので、MC/MMのフォノイコライザーも備える完全なインテグラルアンプである。電源まわりを見ても本格派の設計であり、その音の純度の高さが納得できるものだ。

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