トーレンス TD520RW + 3012R

井上卓也

オーディオ世界の一流品(ステレオサウンド別冊・1994年春発行)
「世界の一流品 アナログプレーヤー/カートリッジ/トーンアーム篇」より

 トーレンスは、往年の銘器として世界のトップレベルに君臨したTD124や、そのオートプレーヤー版TD224以来、つねに高性能、高音質かつ操作性の優れたシステムを世に送り続けている。
 TD520RW十3012Rは、アームレスのTD520RWに、トーンアームにSMEの2Rを搭載し、エレクトリックコントロールのアームリフトを組み込んだ、カートリッジレスのセミオートターンテーブルである。このアームリフターの装備は、CDプレーヤーの機能性に慣れた現状では、実用上で不可欠な機能である。
 3・2kgの二重ターンテーブルは、シングルターンテーブルと比べ単一の固有共振が出難く、スタート/ストップ時のタイムラグもほどよく充分にコントロールされた結果での重設定であろう。
 同社はトーンアーム、ターンテーブルをフローティングして処理する方法を一貫して採用している。コイルスプリングの選択や、その組合せ、またリーフスプリングを使う現在のサスペンション方式は、長期にわたる熟成期間を経て完成されたメカニズムである。これは上下方向にタップリとしたストロークがあり、前後、左右を抑えた設計で、耐ハウリングマージンが大きい。このタイプの理想に近いコントロールによって、ダンピング量も巧みにコントロールされている。
 SME3012Rは、いわゆるロングサイズのトーンアームで、現状のオルトフォンやデンオンに代表される1・5〜3gの針圧で使うカートリッジを対象とすれば、好適なタイプであろう。設定方法、調整を正しく行なえば、組み合せるカートリッジの音を確実に引き出すだけの能力をもつところが本機の信頼性の高さだ。
使いこなしポイント
 駆動モーターはサーボ型であるだけにAC電源にも気を使いたい。極性をチェックし、アンプのACアウトレットを使わずにアンプ系とは別の電源から取ることが必須条件。

Leave a Comment


NOTE - You can use these HTML tags and attributes:
<a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <s> <strike> <strong>

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください