ダイヤトーン DS-301

瀬川冬樹

ステレオサウンド 29号(1973年12月発行)
特集・「最新ブックシェルフスピーカーのすべて(下)」より

 発売以来三年あまりというのは国産では寿命の長い方だが、内外の新型のあいだに混じると少々古い感じの音に聴こえる。前回(本誌23号)聴いたものと印象が少し違って、ことに女性歌手が老けて聴こえ、はつらつとした生気を欠き情感や色気が出にくい。中低音から中音にかけての音域に重点を置いて、音楽の土台はしっかり支えている反面、中音域では音の薄いところがあり、またDS251などとくらべるとスーパートゥイーターがさほど効ているように思えず高音域のレインジがせまく感じられるためか、ソロ・ヴァイオリンの高域の張りつめた響きが冷たく切れこんでゆく感じ、弦合奏のハーモニクスがふわっと浮く感じ、シンバルやスネアの乾いてスキンのよく張った感じ、などが出にくく、ことに音量を絞った場合に総体に粘ったような重い鳴り方をする。パワーを思い切り送り込むと様相は一変して音離れの良い、よく張って切れこむ音質になるがそういう長所を発揮できるのは、かなりのハイパワーアンプで音量を思い切り上げた場合に限られる。狭い部屋ではこの良さを生かすのは少し難しい。

周波数レンジ:☆☆☆☆
質感:☆☆☆☆
ダイナミックレンジ:☆☆☆☆
解像力:☆☆☆☆
余韻:☆☆☆
プレゼンス:☆☆☆
魅力:☆☆☆

総合評価:☆☆☆

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