フィリップス RH493

瀬川冬樹

ステレオサウンド 16号(1970年9月発行)
特集・「スピーカーシステム最新53機種の試聴テスト」より

 今回のテスト機種の中で、KEFクレスタに次いでローコストの外国製品である。一本二万円ということだが、日本製品の一万円相当というところか。
 一聴すると、高域がシャリシャリと出すぎて、反面、低域がまるで鳴らないように聴こえるが、BASSをかなり上げてHIGHをおさえてバランスをとり直すと、この素晴らしく格調の高い、分離のよい、きれいで刺激のないよく澄んだ音質は、ただものでないことがわかる。箱の大きさから言っても、決してスケールの豊かな音にはならないが、オーケストラでも結構量感が出るし、弦合奏のオーヴァートーンがふわりと漂う雰囲気など、泣けてくるようなうれしさだ。どんなにばらんすを とり直しても、生れの品位の悪いスピーカーだったら、こうは鳴らない。値段から考えても、たいしたユニットでもあるまいと思えるのだが。

採点表
大編成:★★★
小編成:★★★★
独奏:★★★★
声楽:★★★
音の品位:★★★★★
音のバランス:★★★
音域の広さ:★★★
能率:★★
デザイン:★★★★
コストパフォーマンス:★★★
(推薦)

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