ピカリング V15/AM-3

瀬川冬樹

ステレオサウンド 12号(1969年9月発行)
特集・「最新カートリッジ40機種のブラインド試聴」より

 ワイドレンジという感じの音ではなく、中~高音域の上の方に多少張りを持たせてハイ・エンドをカットしたような、おそらく中級品らしい音づくりだが、腰の強い明るい音が身上のようである。音の拡がりがよく出て奥行きもあり、分離も切れ込みも一応よく、低域にも適度の厚さがある。ピアノ・ソロでは、一種ふてぶてしいような張りがあって、引き締った腰の強い音を再生する。弦合奏のユニゾンでは何となく安っぽさが感じられる一方、妙につやのある音が印象に残るが、ヴェルディあたりになると、バランスの悪さや歪みっぽさが出てきて、さすがに欠点を露呈してしまう。華やかさ、明るさ、独特の拡がりに特徴がある。

オーケストラ:☆☆☆☆★
ピアノ:☆☆☆☆★
弦楽器:☆☆☆☆
声楽:☆☆☆☆
コーラス:☆☆☆★
ジャズ:☆☆☆☆
ムード:☆☆☆☆★
打楽器:☆☆☆★
総合評価:80
コストパフォーマンス:95

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