キーソニック Keesonic353

瀬川冬樹

ステレオサウンド 36号(1975年9月発行)
特集・「スピーカーシステムのすべて(上)最新40機種のテスト」より

 ハイパワーで朗々と鳴らすタイプではない。やや渋味の強い、感情を露にしない品の良さというのか、よくいえばおっとりした、,反面どこか鳴り切らないようないじけた感じのあるスピーカーだ。デザインや仕上げから想像しても、現代のハイファイスピーカーとは別の、いわゆる家庭用に徹した作り方だと思う。そういうつもりで抑えかげんの音量で少し耳を馴らしてみると、音量の小さいときでも意外に音像をしっかりと形造る。トーンコントロールでバランスをとってやると、全域に亘って適度につやが乗ってきて、音が生きてきて、小音量でも音が薄まるようなことがなく、実体感のある素性のいい音を聴かせる。しかし何といってもスケールの小さいこと、ハイパワーに弱いこと、どうにも小造りで鳴り方に解放感のないところが、聴きこんでも不満として残る。そういう要求をする方が無理な作り方のようだ。やや低目の台に乗せて、壁からすこし離すほうがよかった。

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