瀬川冬樹
ステレオサウンド 18号(1971年3月発行)
特集・「FMチューナー最新33機種のテストリポート」より
FAM14の方は、いろいろとユニークな仕掛けで楽しませてくれたが、こちらは概観も使用もずっとオーソドックスな作りかたをしている。ブラックフェースのダイアル面はかなり拾いが、ダイアルスケールの実効長は14センチとこのクラスではやや短かい。FMの目盛は等間隔。書体や配列も適当である。指針は照明されないがシルエットは割合に読みとりやすい。AM/FMの切換にともなって、必要なバンドだけが照明される点も合理的。二個並んだメーター窓は明るく、指針も明快である。ヘッドフォン・ジャック及びレベル切換スイッチが設けられている点もFAM14と同様。
ただ、FAM14でも指摘したように、このメーカーの考え方はユニークだが、本機の場合でも、チューニング・メーターの針のふれの方向がダイアル指針の動きと逆の方向に動いてしまうとか、パネルのふちの切断面の仕上げが粗く手ざわりがやふ危険だとか、こまかな処理や仕上げにややこなれきっていない点が散見される。あらゆる意味で製品をリファインすることが望まれる。しかし音質そのものは中高域にのびのびと明るい張りがあって、明快な音はなかなかみごとだった。
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