瀬川冬樹
ステレオサウンド 18号(1971年3月発行)
特集・「FMチューナー最新33機種のテストリポート」より
AU999とペアにデザインされたためか、チューナー単体としてはやや大柄な部類に入る。しかし大型であるだけに、ダイアルスケールの有効長は約21センチと、ソニーのST5000Fに次いで最も長く、しかも目盛が等間隔なので見やすく、且つ指針自体もランプで明るく光るため、同調点の指示がたいへん明瞭である。高級チューナーらしくメーターもシグナル強度と同調点指示と二個。かなり大型のものがついていて、その目盛もすっきりして美しい。応答速度も適当だった。
ところが、チューニングメーターのふれが、同調ツマミと逆の方向にふれる。これはぜひ針のふれる方向をいまと逆に改善するべきだ。
もうひとつ、プリメイン・アンプ(AU999)を含めて、パネル周囲を厚手の額ぶちでふちどりしているが、この額ぶちの角のつきあわせの部分が、まるで刃物のようる鋭く、たいへん危険である。これは早急に改めて欲しい点である。
いかにもチューナーらしくクセのないバランスのよい音質だが、抑制が利きすぎたというか、なにか精彩を欠く印象で、個人的にはTU888の方に好感が持てる。
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