サンスイ TU-888

瀬川冬樹

ステレオサウンド 18号(1971年3月発行)
特集・「FMチューナー最新33機種のテストリポート」より

 サンスイお家芸のブラックフェースだが、従来の777や999のような額ぶちをやめて、JBL式のサイドフレーム・タイプで、AU666などと共通のイメージを持つ新シリーズである。
 AU999も大柄な印象を与えるが、888のパネルはそれよりさらに左右に広く、市販チューナーの中でも最も横巾が広い。その点を別にすれば、パネルの配置や背面の端子類の配列などよく整理され、総じて999よりもリファインされた製品という印象を受ける。ダイアル面は999とよく似ているが、999で指摘したメーターの振れのちぐはぐさもなく、ダイアル指針もシャープだというように、全体にサンスイ製品の中では上品でしゃれた雰囲気があって、なかなか楽しい。ただし外観上では二個のメーターの周囲の光の洩れがやや目ざわりであることと、サイドパネルの角が鋭利な刃もののようで危ないという点を、指摘したい。見た目にはシャープな感覚を与えながら、手ざわりはあくまでも温かく安全にというのが、製品を作る本質だろう。
 音質は良い。バランス良く低域が温かく、ふわりと漂う雰囲気など、999よりも良いのではないかと思う。

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