瀬川冬樹
世界のコントロールアンプとパワーアンプ(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「最新型94機種のテストリポート」より
510Mや、プリメイン型の♯1250も含めて、少し前のマランツのアンプには、高域に一種キラキラした輝きのある力強い音が特徴であった。ところが♯3250と♯170DCの組合せでは、デザインも一新されたことに現われているようにその音の傾向もずいぶん変って、ごくオーソドックスに、いかにも特性が平坦であることを思わせるバランスの良さと、周到に練り上げられた美しい明るい音を聴かせる。ただその明るさは、単体のところでも書いたように、どこか人工光線で一様に照らされたという感じの、いいかえれば翳りの部分の少ないやや平面的な印象を与える。そのこととも関連してか、音の質感もやや乾いた傾向で、それも自然乾燥でなく慎重にエアコンディショニングされた感じの、いくぶん静的な美しさといえる。こうした音はどちらかといえばパワーアンプの性格が支配的で、コントロールアンプの方はもう少し中庸を得た音に仕上っている。価格を前提にすれば最上のできばえといいたいほどだ。
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