井上卓也
ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より
このクラスとしては抜群の伸びやかな音を聴かせる注目の製品である。
井上卓也
ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より
このクラスとしては抜群の伸びやかな音を聴かせる注目の製品である。
井上卓也
ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「読者の質問に沿って目的別のベストバイを選ぶ」より
セパレート型アンプは本来、コントロールアンプとパワーアンプが独立した存在であり、数多くの組合せのなかから、自分の望む音、それにふさわしいデザイン的なマッチングを楽しむことに、プリメインアンプには求められない独特の魅力の世界がある。しかし、実際にはその組合せの総数は莫大であり、それを試聴する機会が得られず、幸運に機会があったとしても、試聴をして自らの求める音を判断し選択するためには、十分にオーディオと音楽を熟知し、数多くの経験をもつ場合にのみ好結果が得られやすいという制約がある。
したがって、同一メーカーのペアとして発売されている製品の組合せがもっとも成功率が高く、次に、同一メーカーのランクの異なった組合せが好ましいというかなり常識的なことになってしまうわけである。
他社間の組合せの場合には、現在のセパレート型アンプでは、コントロールアンプに際立った音をもつ製品が少なく、パワーアンプのほうが平均的に水準が高く、ほとんどの製品が優れた性能と音をもっていることが選択の前提条件である。つまり、優れたコントロールアンプを選択することがポイントであり、次に、それと組み合わせて自分の求める音が得られるパワーアンプを選出するアプローチが確率の高い方法である。
価格的な制約が30万円前後と狭い範囲に絞られると、候補製品はかなり限定されてくる。
コントロールアンプとして考えられるのは、価格的に15万円が上限となる。まず、国内製品では、デンオンPRA1003、サンスイCA2000、ソニーTA−E88、テクニクスSU9070II、ビクターP3030、ヤマハC2とC4であり、海外製品では、マランツ♯3250がある。少し枠をこすが、GAS・サリア、SAE・MARK2900は、個性派でできれば使いたいモデルだ。
パワーアンプは、同様に15万円をリミットとすれば、国内製品はかなり多く選択が難しい。海外製品は、QUAD♯405とマランツ♯170DCのみで、ダイナコMARKIII×2やSAE・MARK2200が範囲をこすが魅力をもつモデルである。
実際に組み合わせて使用した経験からは、ヤマハC2+QUAD♯405、マランツ♯3250+QUAD♯405が、このクラスでは好結果をもたらした例である。予想の範囲では、GAS・サリアやSAE・MARK2900ベースのダイヤトーンDA−A15DC、ビクターM3030、ヤマハB4のAクラスとBクラスがデザイン的にも興味深く、マランツ♯3250ベースのパイオニアM25、ヤマハB4も一度試みたい組合せである。
瀬川冬樹
ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より
ひととおりの機能を備え、なおかつ音質の良い製品としては破格の安さ。
瀬川冬樹
世界のコントロールアンプとパワーアンプ(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「最新型94機種のテストリポート」より
設計はアメリカだが製造は日本マランツが担当しているということだから、一般の輸入品と比較するよりも価格的には国産機との対抗になるが、それにしてもこれは相当によくできたコントロールアンプで、クォリティ的に国産の十数万円台のそれと比較しても全くヒケをとらない。どちらかというとさらっと乾いて小ざっぱりした感じの明るい音だが、バランスも質感もかなりのもので、レインジも広く音が新鮮で、組み合わせた510Mとの相性などP3600よりも良いと感じたほどだった。しいていえば清潔で品の良いすがすがしい反面、もう少しトロリと練り上った味わいが出れば申し分ない。内蔵ヘッドアンプのできばえはまあまあというところ。
井上卓也
世界のコントロールアンプとパワーアンプ(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「最新型94機種のテストリポート」より
現代アンプらしい、しなやかさと表情の細やかさがある、ワイドレンジ型のコントロールアンプである。
リファレンスパワーアンプ♯510Mとの組合せでは、♯P3600よりも反応が早く、音の粒子が細やかで、プレゼンスの豊かな音になる。バランス的には、低域は柔らかく豊かで、音色が明るく軽く、中域はやや薄いが、適度に鮮度が高く、粒立ちが滑らかであり、音のニュアンスをかなりナチュラルに引き出す。高域はスッキリと伸び切り、細やかである。ステレオフォニックな音場感は、左右には充分に広がり、、前後方向のパースペクティブをもよく聴かせる。音像は少し奥にスッキリと定位をする。
瀬川冬樹
世界のコントロールアンプとパワーアンプ(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「最新型94機種のテストリポート」より
510Mや、プリメイン型の♯1250も含めて、少し前のマランツのアンプには、高域に一種キラキラした輝きのある力強い音が特徴であった。ところが♯3250と♯170DCの組合せでは、デザインも一新されたことに現われているようにその音の傾向もずいぶん変って、ごくオーソドックスに、いかにも特性が平坦であることを思わせるバランスの良さと、周到に練り上げられた美しい明るい音を聴かせる。ただその明るさは、単体のところでも書いたように、どこか人工光線で一様に照らされたという感じの、いいかえれば翳りの部分の少ないやや平面的な印象を与える。そのこととも関連してか、音の質感もやや乾いた傾向で、それも自然乾燥でなく慎重にエアコンディショニングされた感じの、いくぶん静的な美しさといえる。こうした音はどちらかといえばパワーアンプの性格が支配的で、コントロールアンプの方はもう少し中庸を得た音に仕上っている。価格を前提にすれば最上のできばえといいたいほどだ。
井上卓也
ステレオサウンド 45号(1977年12月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より
管球アンプ時代からの伝統を誇るマランツのセパレート型アンプは、ソリッドステート化されてからも、シンプルで機能美の典型ともいえるフラットなフロントパネルをもつデザインを踏襲してきたが、コントロールアンプ・モデル3600の発表を機会として、ブラック仕上げのサブパネルを配した立体的なフロントパネルに変更され、新しいマランツの顔として定着している。
今回発表された一連の新シリーズ製品は、それに対してサブパネルをフロントパネルに重ねた二段構成のタイプとなり、色調も薄いゴールド一色に統一されている。
モデル3250は、マランツのコントロールアンプとしては、位置づけとしてモデル3200の後継機種として開発された製品である。モデル3200に比較して外形寸法は、標準のいわゆるマランツサイズに統一され大型化されたため、外観から受ける印象は本格的なコントロールアンプらしくなっている。
機能的には、現在のアンプとしては例外的ともいえるフロントパネルに左右独立したマイクジャックを備える他に、高音と低音のみがターンオーバー可変型で、かつ中音を含めたトライコントロールをもち、加えてMCヘッドアンプと連続可変型のラウドネスコントロールがある。
モデル170DCは、コントロールアンプ・モデル3250と組み合わせるパワーアンプで、型番末尾にDCが付いているように、マランツ最初のDC構成のアンプである。パワーは90W+90Wで、フロントパネルにはブルーに照明される2個の大型のパワーメーターがあり、対数圧縮されたメータースケールにより8Ω負荷時のピークパワーを直読できるうえに、左右独立したLED使用のピークインジケーターを備えている。
モデル3250とモデル170DCの組合せの音は、最新製品にふさわしく従来のマランツのアンプよりもかなり粒子が細かく、広いfレンジを感じさせる現代的なものだ。強力な電源回路をベースとする伝統的な、力強く芯がしっかりした低音の上に、米国系のアンプらしい中域の充実感があるのは血統の異なるところであろう。モデル3250は、単体で使用してもナチュラルな音場空間の拡がりと定位感のよさは、モデル3600を明らかに抜いたものだ。
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