瀬川冬樹
世界のコントロールアンプとパワーアンプ(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「最新型94機種のテストリポート」より
少し以前のサンスイのアンプは、強いて類型を探すとビクターに一脈通じるような、いくぶん光沢過剰というか、かなり輝かしい派手な音の傾向があった。プリメインのAU707、607以降、次第に大きく変身を試みて成功しはじめているが、時期的にみるとこのCA2000/BA2000はちょうどその転換期にかかっていたためでもあるのだろう、CA2000には従前のサンスイの音がやや残っているし、BA2000の方は新しいナチュラルな音になってからのサンスイの音が入っている、という感じなので、両者の組合せは、互いに相補うところと、長所を相殺しあうところが微妙に入りまじっているように思える。たとえば音に一種独特の明るい艶が乗って音の表情や輪郭をはっきりさせるところは長所といえるし、反面、曲によって少々カン高い感じになったり、華やぎすぎる傾向が聴きとれたりもする。パワーアンプの方が完成度が高いので、右の傾向はCA2000の方に影響されている。
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