オーディオテクニカ ATH-8

瀬川冬樹

Hi-Fiヘッドフォンのすべて(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「Hi-Fiヘッドフォンは何を選ぶか 47機種試聴リポート」より

 ATH7とくらべると、こちらの方が意図的な強調感がなくなって、総体にフラットな感じにコントロールされている。が、それを他のメーカーのコンデンサータイプの中に混ぜて聴いてみると、一種明るく軽い華やぎが感じとれて、これがオーディオテクニカのポリシーあるいは個性であることがわかる。しかし、ATH7の音が、ことにクラシック系のプログラムソースの場合にときとして少々華やかすぎる傾向のあるのにくらべると、ATH8は、その明るさは弱点とはならずむしろ良い意味での個性として聴き手を楽しませる。ソニーが一種湿ったような暗色の音でどこか客観的に音楽を分析させるとすれば、テクニカの音は逆に音楽を積極的に聴き手に伝える。ただそこに、もう少し柔らかく自然な表情が出てくれば、この音はさらに高い完成度に仕上るだろうと思った。LEDによるアダプターのパワー表示はおもしろいアイデアだと思った。

Leave a Comment


NOTE - You can use these HTML tags and attributes:
<a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <s> <strike> <strong>

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください