瀬川冬樹
Hi-Fiヘッドフォンのすべて(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「Hi-Fiヘッドフォンは何を選ぶか 47機種試聴リポート」より
価格的に近いためにどうしてもビクター(HP−D50)やフォステクス(T50)と比較してしまうが、ヤマハ(HP1)を中庸とすれば、ビクターがやや高低域両端強調型であるのに対し、フォステクスが中音域強調型であることをT50のところでも書いたが、大づかみなとらえかたをすれば前三者の中では最もフォステクスによく似て、しかしT50よりもいっそう中音域にエネルギーが集中してしまったように聴きとれる。弦や声が硬く、音量を上げるとピアノの打鍵音などもきつい感じで、ステレオの音場のひろがりも感じとりにくい。中域が張り出しているせいばかりでなく、低・高両音域でも、おさえこんだ印象でレインジが狭く、モノフォニクック的に聴こえてしまう。この点フォステクスの方がもう少し自然に感じられた。かけ心地の点ではもう少し感覚的な重圧感がとり除かれるとよいと思った。
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