菅野沖彦
ステレオサウンド 94号(1990年3月発行)
特集・「いまこれだけは聴きたい ’90エキサイティングコンポーネント 最新パワーアンプ18機種の徹底試聴」より
とても100W/8Ωのアンプとは思えない力の感じられるアンプで、スピーカーのドライブ感は300Wクラスのアンプの感じだ。ソリッドに締まった音の質感といい、底力のある大振幅の再生音の充実さは大出力アンプとしか思えない。それでいて、きわめて濃やかで緻密な質感は、確かに停低歪みのアンプらしい。このアンプの前身、No.20Lの出現以来100W級Aクラスアンプが多くなったが、ここまでの製品はまだない……と思っていたらNo.20・5Lというリファインモデルになった。
「ドゥムキー」もほぼ完璧だし、ウィーン・フィルの明晰で精緻な解像力と透明な響きは極上といってよい。ただ、ないものねだりをするなら、しなやかさと粘りといったウェットな情緒の不足であろう。どちらかといえば透徹で硬質な音である。鮮やかすぎるくらい明晰だと、曖昧さがほしくなる……という欲深さが僕にはある。ジャズも4344の能率なら十分の音量で最高の質感だ。
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