早瀬文雄
ステレオサウンド 90号(1990年9月発行)
「Music Consolette 偶然の結晶を求めて」より
新しいスピーカーやアンプに出会った時、漠然とした予感が意識の奥に淡く広がっていくのを感じることがある。やがて予感が予感を呼び、記憶に埋もれていた過去の感動をふいに思い出すきっかけになることすらある。もし、そんな感動の記憶をうまく繋ぎとめることができたとすれば、予期せぬほどすばらしい装置を組み合わせることができるかもしれない。ふと思いついた組合せが、一見オーディオの常識や一般論からやや外れたものになってしまったりしても、そこからただの偶然の悪戯と思えないような響きが得られた時、最初の予感が実はきちっとしたオーディオセンスに支えられたものであることに気づかされる。つまり、結果は単なる偶然じゃなかったのだ……と。そんなことを感じた今回の三つの世界。そこには一般論では言い尽くせない、私的に深化した響きの説得力というものが確かにあった。
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