Lo-D TU-1000

井上卓也

ステレオサウンド 58号(1981年3月発行)
「Pick Up 注目の新製品ピックアップ」より

 昨年のオーディオフェアに出品され、一部のマニア層の熱い視線を集めた注目のプレーヤーシステムである。
 プレーヤーシステムとしては、トーンアームレスタイプで、電源部はキャビネットから分離をした独立タイプである。
 直径33cm、重量6kgのアルミターンテーブルは、下面に特殊加工を施した特殊粘弾性体を充填した防振構造を採用。モーターは、重量級ターンテーブルを33 1/3回転時に1/3回転で定速に駆動できるだけの5kg・cmの高起動トルクを発生する新開発のストロンチウムフェライトマグネットをローターに使ったLo−D独自の磁気浮上式ユニトルクモーターを組み合わせている。
 新開発のモーターは、300極精密着磁をおこない磁気誘導全周積分方式により高い周波数で高精度の速度検出信号を取り出し、クォーツロック回路で安定度が高く、応答性の優れたサーボコントロールをし大慣性ターンテーブルと軸真円度0・1μの高精度軸受機構で、測定限界にせまるワウ・フラッター0・006%(WRMS/FG法)に達している。なお、モーターシャフトはDD型としては異例の直径16mm、特殊ステンレス鋼を熱処理をしたタイプを使い、磁気浮上方式はローター磁石とヨーク間の磁気吸引力がターンテーブル重量を打ち消す作用をし、実質的には軸受重量は1/3以下に軽減され、重量6kgのターンテーブルは2kg弱の重量に相当することになる。
 キャビネットは、特殊積層材使用80mm厚ソリッドタイプで、裏面を特首謀浸材でダンプした合金キャスト製パネルをパーティクル材及び粘弾性材多層構造の本体に固着した構造である。なお、アームベースは特殊合金製重量1・5kgで、加工が難しいため使用アームに合わせてLo−D工場で加工され直接送付される方式をとっている。
 TU1000にSAEC WE407/23を組み合わせる。聴感上の帯域バランスはナチュラルな広帯域型で、音色は適度に明るく滑らかであり、いかにも高級機らしい格調の高さが音に如実に感じられる。音場感はナチュラルだが少しパースペクティブを抑える様子だが、これも超高価格機との比較での差である。高性能と強固なメカニズムを併せもった聴感上でのSN比の高さに特長がある見事な製品である。

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