井上卓也
ステレオサウンド 133号(1999年12月発行)
「TEST REPORT 2000WINTER 話題の新製品を聴く」より
E407は、現在におけるプリメインアンプのリファレンスモデルを目指して開発された、アキュフェーズのプリメインアンプのトップモデルである。本機は、E406Vの後継機に位置付けられる新製品で、新世代のプログラムソースであるSACDやDVDオーディオなどに求められる周波数特性やSN比、クロストークなど、すぐれた諸特性を実現しているという。
内部は、機構・回路設計ともに、プリ部とパワー部は完全に分離した準セパレートアンプ的構成が特徴で、プリ部とパワー部は独立した使用が可能である。また、プリ部・パワー部ともに高域位相特性にすぐれた電流帰還型増幅回路を採用している。
前作を受け継ぎ、プリ部は、オプションのフォノEQボード用増設スロットを装備する。なお、トーン回路は、独自の加算型アクティヴフィルター方式を採用した。
パワー.部は、マルチエミッター型パワートランジスターを3組並列プッシュプル構成としている。電源は、放熱フィン付きのダイキャストケースに納められたマックスリング型トロイダルトランスと、33kμFの容量をもつ電解コンデンサーを2個搭載。さらにヘッドフォン出力は、専用アンプを使用する音質重視型設計で注目される。入出力の切替えは、すべてロジック・リレーによる制御を行ない、増幅系は、ディスクリート回路で構成されている。
プリメインアンプらしく、エネルギーバランスを重視した帯域バランスは安定感が充分に高く、中域の充実した密度感は、高級セパレートアンプに勝るとも劣らぬ魅力があるようだ。ほどよく抑制が効き、スムーズな音を聴かせていた、いままでの同社のプリメインアンプと比較すると、解き放されたかのように、自然体で伸びやかな音を聴かせる。しかも、スピーカー駆動能力にもすぐれ、力強く線の太い表現力を加えたこの音は、本機ならではの味わいといえよう。
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