ダイナコ Mark VI

岩崎千明

ステレオサウンド 41号(1976年12月発行)
特集・「世界の一流品」より

 マークIIIとして永く愛用される60ワットアンプをもって、数少ない管球アンプの伝統を持つダイナコのもっともハイパワーかつ強力なるアンプが、このモノラル・パワーアンプMKVIだ。おそらくMKIIIの倍の出力を持つためにMKVIとなったのだろう。
 120ワットの出力はソリッドステートパワーアンプなみで、もしMKVIにくらぶべきソリッドステートとなると300W級だから、驚くべきハイパワーだ。
 ダイナコ製品の、もうひとつの大きな特徴は、米国のコンシュマーレポートの常連といえるほどに、しょっちゅうその名が「お買得ベスト」の中に名を連らね、それも年を追っても型番が変らないという点だ。つまり、ひとたび製品化するとこれを中止することはめったにせず、幾星霜たつといえど同じ製品がずっと永く市場をにぎわす主要製品として続く点だ。寿命の驚くほどの永さこそダイナコの製品の最大の強味でもある。MKVIおそらく10年後もそのまま続くだろう。

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