黒田恭一
ステレオサウンド 48号(1978年9月発行)
特集・「音の良いプレーヤーシステムは何か プレーヤーシステムによって同じカートリッジの音がどのように変わったか」より
●オルトフォンMC20で聴く
声のなめらかさはかなりのものだ。きつくなりすぎないよさがある。音像は、幾分大きめだが、気になるほどではない。はった声も、硬くも、薄くもならない。ピッチカートも、たっぷりひびくが、ふくらみはない。
●デンオンDL103Sで聴く
実に鮮明だ。細部の見通しということでは、他のふたつのカートリッジよりはるかにまさる。それにここでのひびきには、つきはなしたようなそっけなさがない。はずみのあるひびきへの対応もいい。
●シュアーV15/IVで聴く
音像はきりりとひきしまり、ひろびろとした音場感を感じる。すっきりとしていて、とてもききやすい。誇張も、ねじまげも、無理もない。相反するひびきが、それなりに自然に提示される。
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