菅野沖彦
ステレオサウンド 59号(1981年6月発行)
特集・「’81最新2403機種から選ぶ価格帯別ベストバイ・コンポーネント518選」より
このクラスのパワーアンプとなると、さすがに、パワーアンプとして存在感が強い。国産パワーアンプがほとんどで、パワーも100〜150Wが標準である。歪特性はいずれも優秀で、性能的には不足のないものばかりに見える。しかし、実際に音を聴いてみると、実にいろいろな音を出すのが面白い。個性が興味の的となってくる。このクラスに総じていえることは比較的オーソドックスで汎用性の高いものが多いということである。パワーの小さめなものは、その分音質にまわっていることか納得出来るのも、このクラスから上の製品のもつ誠実さといえそうだ。だからといって、パワーの大きいものは音質が劣るとはいえない。僅かだが、そうしたものもあるにはあるが、国産パワーアンプの技術の見せどころといった中堅機種が、このゾーンの代表であり、もともと趣味性の高いセパレートアンプの世界のこと故、この面から見ると、もう一歩といったところだ。
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