井上卓也
ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より
TA−E7BとペアとなるDC構成の100W+100Wの出力をもつパワーアンプである。このモデルは、パワーアンプの機能を具現化した独得なスタイリングが特長であり、従来のソニー製品にないフレッシュな魅力がある。とくに、フロントパネル下側の空気取入れ口は、電力を扱うパワーアンプに応わしいデザインと思われる。
回路面での特長は初段がデュアルFETを使ったカスコード接続の差動アンプで、カレントミラー回路によって出力を取り出し、2段目は定電流負荷のカスコードアンプによる2段構成である。このカスコード接続は、出力側からの帰還容量により生じるミラー効果がなく高域での伝送能力の向上と直線精を改善している。パワー段は、パルス応答性が優れたV−FETと高周波用トランジスターをカスコード接続し3組使うトリプル・プッシュプルのピュアコンプリメンタリーSEPP・OCL回路である。
パワーアンプにとってはもっともベーシックな部分であり、性能に影響を与える電源部は、左右チャンネル感の干渉を避けるために左右チャンネル独立型であり、同じチャンネル内でも電圧増幅段用と電力増幅段用を独立させた4電源トランス方式で、電圧増幅段用にはFETを使った定電流バイアス供給式の定電圧回路により安定化が図られている。電力増幅段用電源トランスは新開発のトロイダル型、電源のコンデンサーは22、000μF×4である。
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