井上卓也
ステレオサウンド 41号(1976年12月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より
アクティブに振動系の軽量化と新素材の導入に取り組んでいるテクニクスからカートリッジの原器をめざした高級MM型の製品が発売された。EPC100Cは、カートリッジとヘッドシェルが一体化した、いわばピックアップヘッドといった構造を採用している。振動系は、チタンと元素中もっとも非弾性係数が大きいボロンを高周波スパッタリングにより反応させたチタニウム・ボライドのテーパードカンチレバーを採用し、マグネットは円板状のサマリュウムコバルトである。なお、針先は0.1mm角ブロックダイヤチップである。
磁気回路は、超高域までフラットな特性を得るために、初めてオールフェライト化され、さらにコイル配列は左右チャンネル完全分離対称配列である。また、このEPC100Cで際立った特長となっているは、コイルのインピーダンスとインダクタンスが驚異的に小さいことだ。発表値としては、それぞれ210Ω・33mHでMC型カートリッジと同等といってもよく、接続する負荷抵抗、負荷容量の影響をほとんど受けない。ちなみに、テクニクス205CIISは、3600Ω・560mH、同じく205CIILが250Ω・40mHである。ヘッドコネクター部分にオーバーハング調整と傾斜調整があり、大型プロテクターは、ワンタッチで上に跳ね上がるタイプである。
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