菅野沖彦
ステレオサウンド 54号(1980年3月発行)
特集・「いまいちばんいいスピーカーを選ぶ・最新の45機種テスト」より
コアキシャルのモニタースピーカー604−8Hを中心に、バスとトレブルにそれぞれユニットを追加して、エクステンデッドレンジを図ったユニークなシステムで、日米共同開発の製品である。604−8Hだけでも十分ワイドレンジなユニットだし、世界中、第一級のモニタースピーカーとして認められているが、そのよさを保って超高域と低域が補強されているのだから、悪かろうはずがない。しかし、これは決して容易なことではなく、システムとして全体の音質改善を実現したことは立派だ。音の密度の点では、♯4343Bに譲るが、透明度や定位の明解さではこの方が勝る。ワイドレンジなので、従来のアルテックとは違ったイメージに感じられるかもしれないが、明るく大らかな歌い方は、アルテックそのものである。欲をいうと、低域の柔軟さと弾みが、やや強引で生硬なこと、最高域がやや遊離して聴こえることだが、それは相当厳しい要求で、全体としてみればやはり第一級のスピーカーシステムである。
総合採点:9
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