菅野沖彦
ステレオサウンド 54号(1980年3月発行)
特集・「いまいちばんいいスピーカーを選ぶ・最新の45機種テスト」より
JBLの大型システムの代表といってよい♯4343Bは、低・中低域ユニットのマグネットが従来のアルニコからフェライトに変ったモデルだ。すでに高級システムのベストセラーとして多くの愛好家のリスニングルームに設置されているこのシリーズの定評は、もはやゆるぎないものとなっている。磁気回路の変更がシステム全体として音にどう現われるかが、興味と注目の的であったが、その結果は一口にいって改善といえるものだ。♯4343については今さら述べるまでもないかもしれないが、これだけワイドレンジ(周波数帯域、ダイナミックレンジとも)で、しかもレンジ内の密度が高く、バランスの整ったスピーカーは珍しい。Bタイプになってもそれは全く変らないが、一段と音のきめが細かく、全体にしなやかさを増した。特に低域に改善の印象が強く、今まで耳につく歪感があったとはいわないが、一層純度の高い緻密な低音の感触が聴けるようになった。全体に、明らかに洗練度が高くなったことはうれしい限りだ。
総合採点:10
0 Comments.