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アキュフェーズ M-100

瀬川冬樹

ステレオサウンド 59号(1981年6月発行)
「Best Products 話題の新製品を徹底解剖する」より

 500W? へえ、ほんとに出るのかな。500W出した音って、どんな凄い音がするのかな……と、まず思うだろう。
 いかにもその期待に正確にそして誠実に答えるかのように、M100には、8Ω負荷の際のピーク出力を数字で表示するディジタル・パワーディスプレイがついている。そして、鳴らしはじめのあいだは、つい、耳よりも目がそちらの方に気をとられてしまう。刻々と移り変わる数字に目をうばわれていると、ふと、音を全然聴いていないことに気づいて愕然とさせられる。
 そして、おそらく誰もが、このアンプの音質を虚心に聴き分けることのできるようになるためには、パワーディスプレイの存在の珍しさが、意識の中から消え去ってからでなくてはダメだと思う。それくらい、このディスプレイは楽しい。
 出力のディスプレイは、次の4レンジに読みとりを切り換えられる。
  0・001W〜0・999W
  0・001W〜9・99W
  0・1W〜99・9W
  1W〜999W
 ごく絞った音量で鳴らしているときは、0・001Wのレンジで十分だ。過程で、静かに音楽鑑賞をするときの出力は、ちょっと拍子抜けするほど小さいことが読みとれる。0・001W近辺でけっこう大きな音が鳴らせることがわかる。
 しかし、たとえばコンボ・ジャズの録音の良いレコードを、あたかも目の前で演奏しているかのような実感で味わおうとすると、出力は、途端に、10W、50W、100W……と大きく動きはじめる。あ、と思った瞬間に、インジケーターの数字は200を軽く越えて、350、400、450……と指示する。500Wという数字から恐るべき音量を期待していると、軽く裏切られる。それは当然なのだ。私たちはつい最近まで、200Wから400Wのアンプを日頃常用したりテストしたりしてきて、実演に近い音量に上げたときには、200Wの出力がすでにものたりないことを体験している。500Wといったって、それは、200Wにくらべて3dB強、最大音量に余裕が出来ただけの話、なのだから。そういいう意味では、こんにち、すでに500Wどころか、1kWでも2kWでも、もし安定度と音質の良さの保証がありさえすれば、いますぐにでも欲しいのだ。
 単にハイパワーというだけなら、すでに実験機、試作機を含めて、私たちは体験しているし、PA用のアンプでは、音質は少々犠牲にしてでも、トータル数kWないし数十kWという出力はいまや日常の話になっている。けれど、過程で音楽をふつうに鑑賞するときの平均音量は、むしろ1W以下、ピアニシモでも0・001Wよりもさらに下、などというのがふつうだ。そういう極小出力で、十分に質の高い、滑らかな歪の少い、透明度の高く魅力的な音質を確保しながら、一方でどこまで高出力を出せるかというのが、これからの本当のハイパワーアンプのあり方だ。アキュフェイズM100は、そ命題に本気で応えた、本当の音楽鑑賞用のハイパワーアンプだといえる。
 そのことは、次のような比較ではっきり聴きとれる。
 比較の対象として、同じアキュフェイズのステレオ・パワーアンプの最高級機P400(200W+200W)を、もう一方に、M100より一歩先んじて発表されたマッキントッシュの同じく500Wアンプ(ただしこちらはステレオ構成)MC2500をそれぞれ用意した。プリアンプは、アキュフェイズのC240、マッキントッシュC29、それにマーク・レヴィンソンML7。これらを交互に組み代えて、音を比較する。
 まずアキュフェイズどうし。プリはC240に固定して、P400とM100(×2)の比較──。
 M100のディスプレイで、ピーク出力で50ないし80W、つまりP400の最大出力を十分に下廻る余裕のあるところで音量をほぼ同大にして比較してみるが、たとえば交響曲のトゥッティや、ピアノ独奏の最強音のところで、M100の悠然とどこまでもよく伸びる音を一旦耳にしてしまうと、P400の音が、どことなくピークで飽和しているような、音の伸びがどこかで停まってしまうあるいは抑えられてしまうかのような、印象として聴きとれる。そしてピアノの打鍵音の実体感が、M100の方が優れている。引締って、くっきりと形造られ、しかも硬質でなく十分弾力的だ。
 次にもう少し小さなパワー、M100のディスプレイがピークでも5〜6Wまでしか示さないような、ごく日常的な音量で比較してみる。それでも、M100の質の高さはすぐに聴き分けられる。音に何となくゆとりがある。私自身でも何度か例えとしてあげた話のくりかえしになるが、大型乗用車をぐっと絞って走らせたような力の余裕、底力、を感じさせる。
 ただ、P400にも良いところはある。弦のこまやかな合奏などのところで、いっそう繊細だ。それはM100よりもう少し女性的な表現といえないこともない。悪くいえば線が細いといえるのかもしれないが、裏がえしてみればいっそうナイーヴな表現をするともいえる。
 このまま(つまりプリアンプがC240のまま)、パワーアンプだけ、マッキントッシュMC2500にしてみる。音の性格が、アキュフェイズとはまるで反対だから、組合せとしてはベストとはいえないが、一応、同条件でのパワーアンプどうしの比較にはなる。
 たとえばピアノ・ソロ。M100よりも彫りが深く、一音一音のタッチがくっきりと際立つ。そして強打音での伸びがM100よりも力強い。ピアニストの指の力が増したような、ことにP400と比較すると、女性ピアニストと男性ピアニスト、ぐらいの差がつく。差のあることはわかるが、必ずしもどちらが良いかは速断できない。MC2500のほうが、少し元気すぎるともいえなくないが、しかしP400は逆に控えめすぎるともいえる。となると、M100がちょうどよいのか──。これはどうも、C240との相性の問題もありそうで、ピアノ独奏に関しては、案外、C200XとM100あたりの組合せがよいのかもしれないと思った。残念ながらC200Xを用意していなかったので、確認はできなかった。
 ところでMC2500だが、ピアノではともかく、交響曲では首をかしげた。使ったレコードは、アムステルダム・コンセルトヘボウだったが、それが、アメリカ系のたとえばシカゴ交響楽団とまではいいすぎかもしれないにしても、ちょっと、ヨーロッパの音にしては抑制と渋味が不足している、あるいは、明るすぎる音に仕上って聴こえる。
 このあと、プリアンプをレヴィンソンML7に変えて同じく3台のパワーアンプの比較をした。プリアンプの変ったことによって、組み合わせた結果の音の味わいは変ったが、パワーアンプ相互の音のニュアンスの差は、前記の印象と大筋において違わなかった。
 プリアンプをマッキントッシュC29に変えての試聴では、MC2500の音がぐんとピントが合って、音の色調が当然とはいえ、よく揃い、マッキントッシュの新しい世代のサウンドに、ちょっと感心させられた。反面、アキュフェイズのパワーアンプに対しては、マッキントッシュの華麗、アキュフェイズのナイーヴ、互いの個性が殺し合って、これは明らかにミスマッチだった。
 さきほどのピークパワー・ディスプレイの数字は、ホールドタイムが0・5秒、3秒、30分に切り換えられる。そしてホールドしているあいだにも、より大きなピークが入ってくれば、即座に応答して表示する。0・5秒では刻々と変化する出力上下の幅がいかに大きいかを直感的に読みとれる。3秒になると、もう少しゆっくりと、考えるヒマを与えてくれる。30分のホールドは、レコード片面を通して、最も大きな出力を表示してくれる。この機能はすばらしく便利で、前述のように、つい音を聴くことを忘れさせるほど、最初のうちは見とれてしまう。
 いったい、どこまでの出力が出せるものかと、ハイパワー限界のテストをしてみた。こういうテストは、もしもクラシックで、ピーク500Wを出そうとしたら、ふつうの部屋ではとても耐えられない音量になってしまう。むしろ、最近の録音の良いジャズやフュージョンの、むしろマイナー・レーベル(たとえばオーディオ・ラボやシェフィールドなど)のほうが、一瞬のピーク出力が制限されずにそのままカッティングされている。いいかえれば、音量感の上ではむしろ意外なところで、出力の表示は数百Wを軽くオーバーシュートして、びっくりさせられる。
 ともかく、今回の本誌試聴室の場合では、640Wまでを記録した。これ以上の音量は、私にはちょっと耐えられないが、アンプのほうは、もう少し余裕がありそうに思えた。500Wの出力は、十二分に保証されていると判断できた。
 しかし、M100の本領は、むしろ、そういういパワーを楽々と出せる力を保持しながら、日常的な、たとえば1W以下というような小出力のところで、十分に質の高い音質を供給するという面にあるのではないかと思われる。
 そのことは、試聴を一旦終えたあとからむしろ気づかされた。
 というのは、かなり時間をかけてテストしたにもかかわらず、C240+M100(×2)の音は、聴き手を疲れさせるどころか、久々に聴いた質の高い、滑らかな美しい音に、どこか軽い酔い心地に似た快ささえ感じさせるものだから、テストを終えてもすぐにスイッチを切る気持になれずに、そのまま、音量を落として、いろいろなレコードを、ポカンと楽しんでいた。
 その頃になると、もう、パワーディスプレイの存在もほとんど気にならなくなっている。500Wに挑戦する気も、もうなくなっている。ただ、自分の気にいった音量で、レコードを楽しむ気分になっている。
 そうしてみて気がついたことは、このアンプが、0・001Wの最小レンジでもときどきローレベルの表示がスケールアウトするほどの小さな出力で聴き続けてなお、数ある内外のパワーアンプの中でも、十分に印象に残るだけの上質な美しい魅力ある音質を持っている、ということだった。夜更けてどことなくひっそりした気配の漂いはじめた試聴室の中で、M100は実にひっそりと美しい音を聴かせた。まるで、さっきの640Wのあの音の伸びがウソだったように。しかも、この試聴室は都心にあって、実際にはビルの外の自動車の騒音が、かすかに部屋に聴こえてくるような環境であるにもかかわらず、あの夜の音が、妙にひっそりとした印象で耳の底で鳴っている。
 モノーラル構成2台で100万円、というのは、決してささやかとはいえない。2台の重量の合計が83kg。そのことよりも、10W近辺まで純A級で動作するという回路構成から、消費電力は無信号時でも250W(2台だから500W!)と、無視できない価である。ピーク出力時では、仮に一瞬であっても、8Ω負荷500W出力で840W(×2)を消費するから、それ相当の覚悟をしないと、なかなか自分のラインにはとりこみにくい。しかし、冷却ファンなしでも、発熱は想像よりずっと少ない。ファンを追加もできる構造だが、家庭用としては不必要ということだし、ファンなしで済むということは、無用の機械雑音に悩まされずに済むということで、神経質な愛好家にも歓迎されることだろう。

マッキントッシュ MC2205

菅野沖彦

ステレオサウンド 59号(1981年6月発行)
特集・「’81最新2403機種から選ぶ価格帯別ベストバイ・コンポーネント518選」より

 マッキントッシュのパワーアンプのシリーズ中の代表機種である。例のグラスイルミネーションパネルをもつアンプとして、現在のところ最大のパワーをもった製品だ。パワーガードサーキットにより、ノンクリッピングのドライブが可能で、伝統のアウトプットとランスの使用により、高効率、高信頼度をもっている。暖かく重厚な音の品位の高さはマッキントッシュアンプならではのもので〝価値ある製品〟といえる。

デンオン POA-3000

井上卓也

ステレオサウンド 59号(1981年6月発行)
特集・「’81最新2403機種から選ぶ価格帯別ベストバイ・コンポーネント518選」より

 数ある高能率A級増幅方式としては唯一のA級増幅をベースとしたデンオンAクラスは注目の技術である。パワーと比較して巨大な外形は、A級増幅を出発点としたため、一般のB級増幅スタート型より少し能率が低いこの方式の特徴を物語るものだ。カラレーションが少なく、スムーズに伸びたレスポンスとキメ細かく滑らかな音は、これ見よがしの効果的なタイプではないが、聴き込むに従って本来の高性能さが受取れる信頼性は高い。

ニッコー M-205W

ニッコーのパワーアンプM205Wの広告
(オーディオアクセサリー 21号掲載)

M205W

SAE X-25A

SAEのパワーアンプX25Aの広告(輸入元:三洋電機貿易)
(スイングジャーナル 1981年2月号掲載)

SAE

アムクロン SL-1, SA-2

アムクロンのコントロールアンプSL1、パワーアンプSA2の広告(輸入元:ヒビノ音響)
(スイングジャーナル 1980年7月号掲載)

Amcron

アキュフェーズ C-200X, P-300X

アキュフェーズのコントロールアンプC200X、パワーアンプP300Xの広告
(スイングジャーナル 1980年7月号掲載)

C200X

マッキントッシュ C27, MC2125

マッキントッシュのコントロールアンプC27、パワーアンプMC2125の広告(輸入元:ヤマギワ貿易)
(スイングジャーナル 1980年7月号掲載)

Mcintosh

マークレビンソン LNP-2L, ML-1L, ML-2L, ML-3, ML-6, LNC-2L

マークレビンソンのコントロールアンプLNP2L、ML1L、ML6、パワーアンプML2L、ML3、エレクトロニッククロスオーバーネットワークLNC2Lの広告(輸入元:R.F.エンタープライゼス)
(スイングジャーナル 1980年7月号掲載)

MarkLevinson

QUAD ESL, 44, 405

QUADのスピーカーシステムESL、コントロールアンプ44、パワーアンプ405の広告(輸入元:シュリロトレーディング)
(スイングジャーナル 1980年7月号掲載)

QUADESL

マランツ Sm-10

井上卓也

ステレオサウンド 55号(1980年6月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 Sm10は、既発売のA級、AB級切替可能なMa5を2台並列とし、一枚のパネルに取付けたステレオパワーアンプだ。パワーメーターは省略されたが、BTL接続用入力を使用して350Wのモノ・ハイパワーアンプにできるのが魅力だ。

マランツ Sc-9, Sm-9

井上卓也

ステレオサウンド 55号(1980年6月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 Sc9は、そのフロントパネルのレイアウトからもわかるように、基本的に従来のSc7を発展、改良した、そのMKIIと考えてもよいコントロールアンプである。
 基本的な回路構成は、FET使用DC構成のMCヘッドアンプ、同じくFET・DC構成のイコライザーアンプ、中音を加えたターンオーバー可変の高・低音コントロールアンプとヘッドフォンアンプのオーソドックスなラインナップで、バイパススイッチによりトーンコントロールアンプを通さずにフォノ入力はダイレクトにプリアウトへ信号を送り出し可能である。また、トーンコントロールがREC OUTに切替使用できるのはSc7以来の特長である。
 回路は各ブロックごとに基本から再検討され、部品関係、配線材関係に新しいタイプが採用されているが、Sc7に比べ大きく変更しているのはモード切替スイッチ関係の基板を廃止し、直結方式としてセパレーション特性の改善を図ったこと、電源部の新設計の2点がある。MCカートリッジ用ヘッドアンプも新タイプになった。
 また、マホガニー材使用の木製キャビネットが標準装備となり、パネルフェイスにESOTECの文字が加わった。
 Sm9は、Sc9と同様に、従来のSm7をベースとしてリファインしたAB級動作150W+150Wのステレオパワーアンプである。
 主変更点は、パワートランジスターに高域特性が優れスイッチング歪が少ない新開発スーパーfTトランジスターの採用。電源部のコンデンサーに高周波特性が優れたコンピューターグレイドの大容量型が使われている他に、部品、配線材料の検討がおこなわれていることなどである。
 外装関係では、マホガニーキャビネットの標準装備、ESOTECシリーズになりメーターの色調が、高級機のSm1000と同様のブルー系に変った。
 Sc9とSm9のペアは、Sc7/Sm7がやや中域が薄く滑らかで、細かい粒立ちのワイドレンジ型であったのに比べ、安定したダイナミックな低域をベースとするアメリカ系アンプの魅力である。エネルギー感が充分にある中域、ナチュラルに伸びた高域をもつ、エネルギーバランスがフラットなタイプに変っている。音色は明るく活気があり、ステレオフォニックな音場感の拡がり、音像定位のシャープさも第一級のできである。とくに分解能が優れた印象は、主にSc9側のグレイドアップによるものであろう。

オプトニカ SO-9, SX-9

井上卓也

ステレオサウンド 55号(1980年6月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 SO9は、昨年秋のオーディオフェアで発表された、全増幅段をすべてFET構成にしたコントロールアンプだ。
 薄型のプロポーションにまとめられたパネルフェイスは、コントロールアンプというイメージよりは、最近のFMチューナーのようにカラフルにデザインされ、このところヨーロッパで一つの傾向として受入れられている各種のカラーで照明された、華やかで軽快なデザイン傾向と共通点が感じられる。
 構成は、MCヘッドアンプ、イコライザー、トーンコントロールアンプの3段構成で、全段FET使用のDC構成が目立つ。機能は、表示ランプ付のPHONO2カートリッジ負荷抵抗切替、モード切替、テープモニター、高・低フィルター、ラウドネスなどの他、一般のゴム脚部分がプレーヤーシステムのインシュレーターと同様に、高さ調整可能であるのがユニークだ。
 SX9はSO9とペアとなる全段FET構成の100W+100Wのステレオパワーアンプである。出力段のパワーMOS型FETは高域特性が優れスイッチング歪が無視できる特長があり、放熱器にはフレオンガス流体放熱器を使う。なお、電源部は左右独立型トロイダルトランスだ。パネルフェイスには、デジトロンパワーメーターと信号をグラフィックに見せるオーディオスペクトロアナライザーを備える。

ヤマハ B-6

井上卓也

ステレオサウンド 55号(1980年6月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 B6はデザインのユニークさもさることながら、アンプの高能率化とハイクォリティを両立させた、今後のパワーアンプのひとつの方向性を示した画期的な新製品である。
 わずかに重量9kgの軽量でありながら、200W+200Wのパワーと200W、8Ω負荷時に20Hz〜20kHzでTHD0・003%をクリアーする高性能は、2つの新方式の採用のめざましい結果だ。
 まず電源部のX電源方式は、電源部の負荷であるパワーアンプの消費電力に応じて最適量の電力を電源の大容量コンデンサーにチャージさせるタイプで、電源トランスの一次側に切替用素子としてTRIACを直列に入れ、出力側の直流電圧の低下を基準電圧と比較し、フォトカプラーを通して高速フィードバックによりTRIACを制御し、交流の通電位相角を変え高能率低電圧回路としたものである。
 パワーアンプのX電源方式は、電源電圧を2段切替とし低出力時に低電圧をかけ発熱による損失を抑え、大出力時には高電圧に切替えハイパワーを得るという構想だ。
 リアルタイム・ウェーブプロセッサーによる電源電圧の切替は、100kHz一波でも正確にレスポンスし、電源電圧の切替えの立上りの遅れによる波形の欠損はなく、音楽信号に忠実に応答するとのことである。
 B6とリファレンス用コントロールアンプのマークレビンソンのML6×2を組合せる。新方式の成果を調べるためには、低域の十分に入ったプログラムソースによる試聴が応しいが、B6は低域レスポンスが十分に伸び、とくに50Hz〜100Hzあたりの帯域では、X電源の定電圧の特長が感じられる引締った再生が目立つ。聴感上の帯域感は最新のアンプらしいワイドレンジ型で、音色は明るく機敏な反応を示す。中高域の分解能は、非常に優れたピュアカレントサーボ方式で純A級増幅のBX1と比較すると一歩譲るが、アンプのランクからみれば充分に優れており、トータルなパワーアンプとして考えれば、200W+200WのパワーのゆとりはBX1を凌ぐとさえいえるようだ。

マランツ Sc-6, Sm-6

井上卓也

ステレオサウンド 54号(1980年3月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 このところ、製品の層が一段と厚くなったマランツの新シリーズアンプ群は、パネルレイアウトが左右対称タイプとなり、往年の名器として伝統的な管球コントロールアンプ♯7のイメージを踏襲した雰囲気をもつことが特長である。
 コントロールアンプSc6とステレオパワーアンプSm6の組合せは、従来の♯3150と♯170DCを受け継ぐ位置づけに相当する製品だ。
 Sc6は、過渡混変調歪を低減する、いわゆるLOW−TIM設計を採用した点に特徴がある。全段完全プッシュプルDCアンプ構成、片チャンネル13石構成のMCヘッドアンプを採用。左右独立型ディフィート付高・低音コントロール、2段切替ラウドネスコントロール、イコライザーサブソニックフィルター、3段切替のMM型カートリッジ負荷抵抗切替のほか、出力0・5Wの純A級動作ヘッドフォンアンプなどを備える。
 Sm6は、AB級動作120W/chと純A級動作30W/ch切替使用が特長である。AB級動作では出力段に高域特性が優れたパワートランジスタ

パイオニア M-Z1

井上卓也

コンポーネントステレオの世界──1980(ステレオサウンド別冊 1979年12月21日発行)
「’80特選コンポーネント・ショーウインドー」より

純A級動作で、しかもNFBを使用しない無帰還型のモノ構成パワーアンプ。リニアリティは、増幅部の非直線性と逆特性の非直線性で吸収する手法で解決。ガラスケース入り電解コンデンサーなど部品選択は十全である。

アキュフェーズ P-400

井上卓也

コンポーネントステレオの世界──1980(ステレオサウンド別冊 1979年12月21日発行)
「’80特選コンポーネント・ショーウインドー」より

シンセサイザーチューナーT104、コントロールアンプC240とラインナップを組む製品。パワーMOS型FET、全増幅段対称型プッシュプル駆動、DCサーボ方式採用。純A級に切替使用可能。

デンオン POA-3000

井上卓也

コンポーネントステレオの世界──1980(ステレオサウンド別冊 1979年12月21日発行)
「’80特選コンポーネント・ショーウインドー」より

純A級動作をベースに独得なバイアス方式を採用して高能率A級動作とした設計は、国内製品として唯一のものだ。余裕あるパワーを土台として、ゆとりがあり、力強い音をスムーズに聴かせる製品。

テクニクス SE-A3

井上卓也

コンポーネントステレオの世界──1980(ステレオサウンド別冊 1979年12月21日発行)
「’80特選コンポーネント・ショーウインドー」より

ニュークラスA方式を採用したパワーアンプの第1弾製品。高速パワートランジスターと電源部をユニット化したコンセントレーテッドパワーブロック採用に代表される独自の最高の技術を導入。

Lo-D HMA-9500MKII

井上卓也

コンポーネントステレオの世界──1980(ステレオサウンド別冊 1979年12月21日発行)
「’80特選コンポーネント・ショーウインドー」より

定評の高いパワーMOS型FET採用に新A級動作を加えた。

マランツ Ma-5

井上卓也

コンポーネントステレオの世界──1980(ステレオサウンド別冊 1979年12月21日発行)
「’80特選コンポーネント・ショーウインドー」より

マランツ最初のモノーラル構成のパワーアンプである。タテ長の外形寸法は、かつてのモデル15/16が2台のパワーアンプを機械的に結合していた歴史を物語るようだ。

ビクター M-7050

井上卓也

コンポーネントステレオの世界──1980(ステレオサウンド別冊 1979年12月21日発行)
「’80特選コンポーネント・ショーウインドー」より

スイッチング歪みとクロスオーバー歪みを解消する目的で、パワー段の可変バイアス方式とドライバー段の改善を含めたスーパーAクラス増幅方式採用のパワーアンプの第1弾製品。

オンキョー Integra M-506

井上卓也

コンポーネントステレオの世界──1980(ステレオサウンド別冊 1979年12月21日発行)
「’80特選コンポーネント・ショーウインドー」より

P306とペアとなるパワーアンプである。従来のスーパーサーボ方式に加えて、出力端のアース側にもサーボをかけるダブルスーパーサーボ方式の採用が特長。

SUMO The Power

菅野沖彦

ステレオサウンド 53号(1979年12月発行)
特集・「いま話題のアンプから何を選ぶか(下)最新セパレートアンプ25機種のテストリポート」より

「ザ・パワー」とはよくつけた名前である。設計製作者のジム・ボンジョルノは、かつて、アンプジラを、テァドラを世に出した男で、アンプ作りの天才ともいわれるが、そのネーミングのセンスの奇抜さからも想像できるように、きわめて個性的な発想の持主だ。エンジニアとして型破りのスケールの大きな人間味豊かな男である。音楽好きで、自ら、ピアノを弾き、アコーデオンを奏でる。その腕前はアマチュア域を越えている。そして大変な食い道楽であり、ワインには滅法うるさい。話し出したら文字通り口角泡を飛ばして、止まるところを知らない情熱家だ。
 その彼が、新たに設立したスモ・エレクトリック・カンパニーから発売した一号機が、この「ザ・パワー」である。400W/チャンネルの大出力アンプであるがその内容もユニークだ。フォア・クォドラント差動平衡型ブリッジ回路という、このアンプの構成は、スピーカーをつないで鳴らしてみれば納得せざるを得ない。今までにない強力なパワーアンプなのである。スピーカーというものの実体を正しく把握して、スピーカーを勝手に動作させない……つまり、あくまで、スピーカーに与えられる音声エネルギーに忠実にスピーカーが動くように、いわば強制的にドライヴするアンプといってよいだろう。そのインピーダンスの周波数による変化や、振動板の動きから生じる慣性に影響されることなく安定して動作するアンプが、ボンジョルノの開発のポイントであった。アンプ内の回路構成はバランス型で、入力から出力まですべてブリッジアンプ構成とし、その4隅から同時にフィードバックをかけることにより、スピーカーをプラス側だけからドライヴするのではなく、マイナス側からもドライヴするべく、スピーカー端子にプッシュプル・フィードバックをかけるという考え方である。新開発のパワートランジスターをはじめ、使用パーツは入念にセレクトされ、そのほとんどが、米国軍用規格適合品を使い、シャーシはユニークなモノコック構造で組み上げられている。4組の独立電源部と10組の安定化電源、電圧・電流値・位相・温度の変化を自動検出し、異常時には100ナノセカンドの高速で回路をシャットしてアンプを保護する保護回路などを装備した超弩級のアンプである。かなりの大型のボディだが、重量は比較的軽く36kgである。大胆な外観からすると内部の作りは緻密で美しい。設計者自身、理屈より音だという通り、この「ザ・パワー」の音が、何よりも雄弁に、その名前の正当性を証明してくれるであろう。
音質について
 このアンプの音は、ひかえめにいっても、今までに聴いたことのない力と豊かさに満ちている。しかも、決して荒さや、硬さを感じさせるものではない。音としては、妖艶といってもよい。脂の乗った艶と輝きをもち、深々とした低音の魅力は他に類例のないものだといってよい。試聴に使ったJBL4343は、まるでブックシェルフの小型スピーカーのように手玉にとられ、アンプの思うように自由に鳴らされる、といった感じである。この、かなり個性と主張の強いスピーカーが、名騎手に乗り馴らされた荒馬のように素直に整然と鳴らし込まれてしまうのである。他のチャンスにアルテックのA5を鳴らした時もそうだった。あのA5から信じ難いほどの太く豊かで、深い低音が朗々と鳴ったのである。今回の試聴でも、ベース奏者が、他のアンプで聴くよりずっと指の力が強く、楽器を自在にコントロールしているように聴えた。中域から高域にかけても、常に肉のついた豊かさと血の通いが失せない。ヴァイオリンの高域のデリカシーということになるとやや大把みだが、しなやかで暖かい。

SAE Mark 2600

菅野沖彦

ステレオサウンド 53号(1979年12月発行)
特集・「いま話題のアンプから何を選ぶか(下)最新セパレートアンプ25機種のテストリポート」より

 大掴みには立派な音で、明解な音像の鳴らし分け、ワイドレンジのスケールの大きなハイパワー再生と、豊かな能力をもった優れたアンプである。細かく聴くと、弦楽器に、どこか不自然な質感があること、ピアノの粒立ちがもっと細やかで冴えてほしいとこと。