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ラックス MQ360

井上卓也

ステレオサウンド 84号(1987年9月発行)
特集・「50万円未満の価格帯のパワーアンプ26機種のパーソナルテスト」より

ナチュラルな帯域バランスと、適度に芯があり、管球アンプらしい、リッチさのあるバランスのよい音が特徴。1曲目のヴォーカルは表面的な薄さのある伸びない音だが、ウォームアップはソリッドステート型よりも早く、3曲目あたりで安定度が向上し、低域の質感がよくなる。表情は適度に豊かで、プログラムソースとの対応もしなやかである。アッテネーターのキャラクターが巧みにマッチした印象の音である。

音質:81
魅力度:86

ラックス MQ-360

井上卓也

ステレオサウンド 79号(1986年6月発行)
特集・「CDプレーヤー・ダイレクト接続で聴く最新パワーアンプ48機種の実力テスト」より

 音の粒子が、独特の角がとれた滑らかさをもち、柔らかく、雰囲気のよい音を聴かせるアンプだ。聴感上の帯域バランスは、両端を抑えたナチュラルな、少しナローレンジ型のまとまりで、スケールは小さく、ステレオフォニックなプレゼンスがやや箱庭的なまとまりを示すが、柔らかな響きは、独特の個性であろう。農民カンタータは、人間の声のリアリティは少ないが、聴きやすくまとまり、幻想は柔らかい雰囲気と適度な音の芯となる硬さがあり、プログラムソースとは異なるが説得力あり。

音質:8.0
価格を考慮した魅力度:8.6

ラックス MQ-360

菅野沖彦

ステレオサウンド 79号(1986年6月発行)
特集・「CDプレーヤー・ダイレクト接続で聴く最新パワーアンプ48機種の実力テスト」より

 柔らかく、自然な音色で、力感とか重厚なソリッドな質感はないが、さり気ない良さは貴重なものだ。やや素っ気ない感じもなくはないが、見当違いのオーディオ的演出とでもいえる誇張の嫌味は全くないのがよい。オーケストラの質感は肌ざわりのよいものだが、少し密度に不足するように思われる。したがって、どちらかというと大編成の力の表現は苦手とする。その代わり、細かい音の色彩の変化や、タッチの差にはこよなく美しい反応を聴かせてくれる。品のよい音の世界である。

音質:8.0
価格を考慮した魅力度:8.0