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オーディオテクニカ AT-15Ea

菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より

明解で鮮やかな濁りのない音質が魅力の高級機。

オーディオテクニカ AT-15Ea/G, AT-14Ea/G

井上卓也

ステレオサウンド 41号(1976年12月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 オーディオテクニカのVM型カートリッジは、発電方式としてはMM型であるが、V字型に配置された2個のマグネットをもつために、同社ではVM型と呼んでいる。このタイプは、1967年の開発以来、カッターヘッドと相似形の動作を理想として数多くの製品が開発され、発展してきたが、今回のニューGシリーズは、従来のモデルをベースとして蓄積された、細やかなノウハウを集めて、一段と完成度を高めたシェル付カートリッジでいずれもオーソドックスな2チャンネルステレオ専用のタイプである。ヘッドシェルは、音質追究の結果から採用されたマグネシュウム合金製のMG10型で、すでに音の良いヘッドシェルとして高い評価を得ているものである。なお、高級モデルのAT15にかぎり、ヘッドシェルなしのタイプも用意されている。
 AT15Ea/Gは、とくに、セレクトされたプレステージモデルであるAT20型を除けば、事実上のオーディオテクニカのトップモデルであり、ニューGシリーズでは最高級製品である。
 カートリッジボディは、軽合金のダイキャスト製で、従来のAT15型の金色から銀色に変わった。また、スタイラスホルダー部分は、ボディカラーの変更にともなって、インディゴブルーとなり、ボディ前面のテクニカのマークの色も同様に変わった。また、新しくスタイラスホルダーのプロテクターの部分に、型番が記されるようになったため、ヘッドシェル装着時にも型番の識別が容易になった。
 振動系は、大幅に改良が加えられているようだ。カンチレバーは、超硬質軽合金と発表されているが、表面の色が、従来のいわゆるアルミ色から、ちょっと見には鉄に見える色に変わっているが、明らかに非磁性体である。テーパード型カンチレバーは、新開発のツイステッドワイアーで支持されるが、ダンパーの色も従来とは異なっている。また、マグネットは、これも従来の円柱状から角柱状に変わっている。
 AT14Ea/Gは、AT15Ea/Gに準じたモデルである。変わっている点は、カンチレバーを支えるワイアーが、金メッキをしたピアノ線となったことと、コイルのインピーダンスが高く、AT15Ea/Gよりも、25%高い出力電圧を得ていることである。ボディフレームは、軽合金ダイキャストと同等なシールド効果をもち、強度を高める硬質メッキ処理が施されている。スタイラスホルダーの色は、エメラルドグリーンで、ボディのシルバーと鮮やかにコントラストをつくっている。
 ニューGシリーズは、振動系が大幅に改良されているために、音質的には、従来のトーンを一段とリファインし、さらに、力強く、粒立ちがカッチリとしたクリアーさが加わっているのが目立つ。音場感的にも、前後方向の奥行きが明瞭に再現され、音像定位が安定で、明快になっていると思う。

オーディオテクニカ AT-11d, AT-13d, AT-14E, AT-14Sa, AT-15E, AT-15Sa, AT-20SLa

井上卓也

ステレオサウンド 39号(1976年6月発行)
特集・「世界のカートリッジ123機種の総試聴記」より

 AT15Eは、ソリッドで力強く、クリアーな音である。粒立ちはこのクラスの標準だが、芯が強くシッカリしているのが目立つ。帯域バランスはナチュラルで、よくコントロールされ、とくに低域がよく伸ぴ、腰が強く引き締まったソリッドな音であることが、国内製品としては珍しい。中域もエネルギーがタップリとあり、薄くならず、高域も必要にして充分な伸びがあり、無理に伸ばした感じがない。表情は、国内製品としては大きくダイナミックであり、押出しがよい。音場感は左右に拡がるがパースペクティブな引きが少なく、音像は前に出てくるタイプだ。中低域の響きがよく、雰囲気もよく出すが、性質はややドライなタイプで、男性的な割り切った魅力がある。
 AT15Saは、15Eとは同系のモデルナンバーをもつが、音的にはまったく異なった製品である。粒立ちは細かく、表情はおだやかで大人っぽさがある。低域は甘口であり、中低域はまろやかに響き、豊かさがある。ヴォーカルは子音をやや強調するが、ソフトで耳あたりよく、ピアノは暖かみがあり、適度の間接音を伴って響く。音場感はスピーカー間の奥深く後に拡がるタイプで、ゆったりと聴くためには相応しい。性質は、15Eとは対照的に、ややウェット型である。
 AT14Eは、15Eよりも粒子は粗くなり、全体の印象では軽く反応が早いキビキビした表情があり、音の鮮度が高いメリットがある。低域は腰は強いが、やや15Eよりも柔らかく量感があり安定している。中域から中高域は、明快で音にコントラストを付け、硬質なストレートな魅力となっている。感覚的にフレッシュで、割り切った音は、力感もあり、リアルで楽しい。
 AT14Saは、粒子を細かくし、線が細くなったAT14Eといってよい。低域から中低域が豊かで柔らかく、中高域は輝く感じがあり、全体の印象はワイドレンジのハイファイ型である。
 AT13dは、15や14系とは異なった、中域を重視した安定感があるバランスの音である。音色の傾向はウォームトーン系で、低域には量感があり柔らかく、中低域も充分にあるため安定感がある。中域以上はやや粒立ちが粗く、高域は適度にコントロールして抑えてある。ヴォーカルはやや大柄になり、音像の立ちかたは平均的水準だろう。適度のスケール感をもち、マクロ的に音をまとめるため、小型スピーカーシステムには適していると思う。
 AT11dは、13dよりも中低域が軽く響き、全体は適度にメリハリが効いたウォームトーン系で、トータルバランスがよく汚れが少ないため、幅広いプログラムソースをこなす特長がある。強調感が少なく、音像はナチュラルに立つタイプだ。
 AT20SLaは、AT15Eのグレイドアップモデルといった音で、低域が締まり、音の芯が強く、充分に洗練された高いクォリティをもっている。音像はクリアーに立ち、音に透明感があり、爽やかで明るい。

オーディオテクニカ AT-11d, AT-13d, AT-14E, AT-14Sa, AT-15E, AT-15Sa, AT-20SLa

岩崎千明

ステレオサウンド 39号(1976年6月発行)
特集・「世界のカートリッジ123機種の総試聴記」より

 同じムービング・マグネット型でも、はっきりした特徴をVM型なりに音の上に示す。高出力かつ緻密な音色は、VM型の技術による確かな結果といえよう。初期の製品において充分に感じられなかった高域の繊細感も新製品では、他社の製品をしのぐほどにもなった。
 AT11dは、8千円という普及価格なのに、堅固なシェルをつけて、使いやすい高出力で、実用上針圧に対してもラフな使い方が許され、まさに一般初心者のすべてに気楽にすすめられる。しかし、全体から受ける印象として帯域の物足りなさ、音の大づかみなところが、高級カートリッジとしての条件に欠ける理由だ。力があって、出力も高いのは、いかにもこのメーカーの特徴を端的に示している。むろん単独商品の価値は充分だ。
 AT13dは、シバタ針をつけて前者を向上させたものだ。しかし針先の変化そのものが、音そのものに強く反映するとは、とても信じられないぐらい変ってしまった。単純に力まかせという感があった11dに比べ、音のメリハリというか、節度がはっきりとそなわって、まるで一桁も二桁も上のクラスのような明解さをもつ。さらに、今までやや不鮮明だったステレオ感もきわだって良くなったのも見逃せない。この価格帯の推選品。
 AT14シリーズは、テクニカがはっきりとその方向を新しい音の路線に求めることを意識したシリーズのように思われる。一口でいうならば、今までのどちらかというとくっきりした音から、もっと耳当りの良さを追うことを考えたのではあるまいか。このシリーズだけがおっとりとした甘さ、ないしは暖かさに通じる、といえばいい過ぎか。ただ高域に関しては広帯域感はかなり強くなる反面、低域の力強い量感が抑えられている。
 AT14Eは、楕円針の標準の状態で出力もやや大きく誰にでも使える良さをもっている。
 シバタ針つきのAT14Saはやや高域のすみきった感じが出てきた。ステレオ用にも良いが、CD−4にも対応できる割安な製品。
 AT15シリーズは、テクニカの目下の高級グループで、15Saは、針を下すやそのスクラッチの静けさと、その広帯域感からいかにも高水準をねらった音がする。非常に細かな繊細感が音楽の中のひとつひとつの音をはっきりと聴かせてくれるのが大きな特徴。
 しかも、こうしたカートリッジがしばしば音のひ弱さと言われてしまうのにテクニカではこれがない。AT15Eは音の鮮明さということばどおりの輝きを保ちながら、つめたくならないのも良くさすがに高級品というイメージをもった音だ。
 AT20SLaは、さすがに高級機種らしく超高域でのステレオ感を安定し、スクラッチの質もよく、音楽のジャマをしないのはさすがだ。

オーディオテクニカ AT-15E/G

オーディオテクニカのカートリッジAT15E/Gの広告
(オーディオアクセサリー 1号掲載)

オーディオテクニカ

オーディオテクニカ AT-15Sa

岩崎千明

ステレオサウンド 35号(1975年6月発行)
特集・「’75ベストバイ・コンポーネント」より

 世界にその優秀性をうたわれるテクニカの最高級新型は、クリアな透明感に力強さも感じさせ、今まで以上の優れた安定したつい銃声をもち、高級品たる資格にふさわしい。

オーディオテクニカ AT-15E

菅野沖彦

ステレオサウンド 35号(1975年6月発行)
特集・「’75ベストバイ・コンポーネント」より

 VM型カートリッジ特有の鋭く明解な音像再現に暖かいニュアンスが加わって高い完成度に達した製品。あいまいさがないところが好みの分れるところだろう。

オーディオテクニカ AT-14E, AT-15E

オーディオテクニカのカートリッジAT14E、AT15Eの広告
(オーディオ専科 1975年4月号掲載)

オーディオテクニカ

オーディオテクニカ AT-15E

菅野沖彦

スイングジャーナル 3月号(1975年2月発行)
「ベスト・バイ・コンポーネントとステレオ・システム紹介」より

 AT15Eはオーディオ・テクニカが同社のオリジナルであるVM型の発電機構を持ったカートリッジとして何回か改良を経て完成した最新製品である。この後に普及版の、AT14シリーズを発売しているが、同じ設計思想にもとずくものだ。AT15Eのよさは、VM型の同社のカートリッジに共通のきわめて明解な音像再現に加えて、豊かな陰影やニュアンスの再現力が得られたところにあると思う。VM型の振動発電系というのは.45/45方式の現在の2チャンネル・ステレオ・ディスクの溝の構造と同系のもので、互いに45度ずつ傾いた左右の壁の振動を、ちょうど、その振動を刻み込んだカッティング・ヘッドの左右のドライビング・コイルのポジションのようにV字型に2つ独立したマグネットが設けられて変換するというものだ。その構造が、いかに音質に結びついているかを明確に断言する自信はないが、今まで聴いてきた同社のVM型に共通した音質傾向が、先に述べたように、明解な音像再現とクリアーなセパレーションにあったといえる。曖昧さのないソリッドな音の再現は、時にドライで鋭角な印象を与えられ、音楽のニュアンスによっては不満を感じる場合があった。AT15Eでは、それが大きく変化して、適度な味わいと音のタッチの快さを感じるものになったのである。カートリッジは変換器として、ディスクの溝に刻まれた信号を忠実にとり出すことが、その大きな役目であるから、こういう音のカートリッジ……というような存在や、表現は本来おかしいというのは正論である。カートリッジが音を持つことは間違いだという理屈は正しいと思う。しかし、それはあくまで理屈の上であって.現実は大きく違う。全てのカートリッジは固有の音をもっている。カートリッジだけではない。全ての機械系をもつ変換器は固有の音を持っているのが現実である。そして、そこに楽しさや、喜びを感じることは間違いだといってみてもはじまらない。いい音、快い音は、まきに好ましいのであって、感覚に正邪はないのである。私はよく自分の部屋でカートリッジをテストするが、自分の作ったレコードでは、よくそのマスター・テープと聴きくらべることがある。変換器として、マスター・テープに近い音を良しとするのは当然だが、そういう比較は遠い昔にやめてしまった。つまり、近いといえば全てのカートリッジはマスター・テープに近いし.遠いといえば全て遠いのである。そして、その差の部分は千差万別で、そこにカートリッジの音として固有の音楽的魅力の有無が存在することのほうに大きな楽しみを見出してしまっている。

高品性かつ豊かな感性を持つジャズ・サウンドを再現
 そんなわけで、このAT15Eに対する私の評価も、かなり柔軟な態度で音楽を聴いた上でのものであり、このところそうした味わいを聞かせてくれるカートリッジが国産でポツポツ出始めてきたことに喜びを感じているのである。ところで.このAT15Eを使って一式コンポーネントを組み合わせろという編集部の注文だが、小さなカートリッジ一個から、システムに発展させるというのは、少々こじつけがましいこともあり、本来、カートリッジは最後に決めて、なお、その上でも、いくつかのものを使い分けるという性格からすれば、この注文は少々無理があろうというものである。そこで、AT15Eの価格や実質性能、感覚的な満足度にバランスした装置を漠然と考えてみると、やはりかなり高級なシステムになるようだ。決して10〜20万の普及システムはイメージ・アップされてこない。AT15Eというのはそういうクラスのカートリッジなのだろうと改めて思った。ここに作ったシステムは、それでも、ギリギリ節約して作ったつもりのものである。プレイヤー・システムとしてはAT15Eのよさを発揮させるにはアームが重要。多くの普及、中級、時には高級システムまでが、トーンアームに問題があって、カートリッジの性能を充分に発揮しきれないのである。ひどい場合はトレース不能、ビリつきを生じて、一般にはカートリッジのせいにされている。
 デンオンDP3700Fはこの点で安心して使える。シンプルだが精度のいいアームは高感度でしかも神経質ではない。私の好きなアームの一つだ。モーターはいうまでもなくDDの有名なもの。話が前後するが、AT15Eのシェルはあまりいただけない。形は気取っているし、作りもよいが、音は最高とはいえない。他のシェルに変えて、よりよい結果が得られた経験がある。シェルに対するカートリッジ本体の食いつきもよくないし、ダンピングが不充分だ。
 アンプは同じデンオンのPMA700Zを使う。デンオンのプリメイン・アンプとしては既に定評のあったPMA700の改良でMKII的新製品である。音の透明度と実感がより確かな感触になった。よく練られた回路は高度な技術に支えられた音の品位のよさを感じさもる。味わいも豊かで、音楽の生命感がみなぎる。
 スピーカーはダイヤトーンの新製品DS28Bだ。去年の暮に発売になったばかりだが、すでにかなりの台数がファンの手許に渡っているという。ダイヤトーンのスピーカー技術が、商品としてまとめの技術とよく結びついた完成度の高いもので、とにかくよく鳴る。AT15E、