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グッドマン Achromat 400(組合せ)

岩崎千明

コンポーネントステレオの世界(ステレオサウンド別冊・1976年1月発行)
「スピーカーシステム中心の特選コンポーネント集〈131選〉」より

 英国きっての名門というにふさわしいグッドマンの新しい技術と姿勢とをもっとも強く感じさせるシステムが、このアクロマット400だ。いわゆるモニター風の志向の強い3ウェイ構成の中型ブックシェルフ型システムで、そのサウンドは、一面いきいきとして音の鮮度の高い輝かしさを持ち味としながら耳あたりのよいソフトな低域から中域を秘めているともいえよう。
 このスピーカーは、ある意味では使い方がむずかしく、特長はややもすると欠点としてクローズアップされてしまうものだ。こうした点を適当にカバーしつつ、質的な劣化をきたさないために、英国を代表するQUADのパワーアンプはうってつけのようだ。
 ここでは303でなくプロ用の50Eを指向したのはアクロマット自体が、プロ指向の強いためもある。パワーの点で米国製のような強大さはないが、それ故に耐入力のあまり高くない英国製スピーカーにはぴったりだ。ややおとなしい50Eは400の輝き過ぎた高域を柔らげて耳当りのよいサウンドを得られよう。プリアンプは、米国製の中でもっともユニークなクインテセンスのシンプルな、しかしハイレベルなクォリティに期待しよう。

スピーカーシステム:グッドマン Achromat 400 ¥124,000×2
コントロールアンプ:クインテセンス Per-1A ¥218,000
パワーアンプ:QUAD 50E ¥95,000×2
ターンテーブル:リン LP12 ¥123,000
トーンアーム:SME 3009S2 Improved ¥41,000
カートリッジ:デンオン DL-109R ¥18,000
計¥838,000

グッドマン Achromat 400

瀬川冬樹

ステレオサウンド 36号(1975年9月発行)
特集・「スピーカーシステムのすべて(上)最新40機種のテスト」より

 久しく鳴りをひそめていたグッドマンだが、むかし愛用したスピーカーだけに、待ちこがれた感じで鳴らした。結論をいえば、イギリスのひと世代前の、キラキラ光る細い金属線のような高音と、やや手綱をゆるめて鳴らす低音のあいだにはさまれてむしろ抑えた感じの中音という、例のイギリス・トーンが鳴ってきて、もう少し現代ふうのフラットネスを期待していた耳には、ちょっとがっかりという感じだった。しかしそれがイギリスの地酒というか地方色であることを頭において聴きこんでゆくと、ひろがりと奥行きのよく出る音場感。ヴァイオリンのハイポジションに特有の光沢と輝きが聴きとれる点。かつてのグッドマンの持っていた、渋さにくるまれた高域の独特の華やかさが、やはり世代が変っても鳴ってくるところがおもしろい。こういうクセの強い音を聴き馴れない人には理解されにくい音かもしれないが、うまく鳴らしてゆくと、これでなくては鳴らない味が、私には一種の魅力である。専用のスタンドがなかなか合理的でよく考えられている。