瀬川冬樹
ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より
かつてBBC放送局のメインモニターとして活躍し、いまでも一部で現用されているLS5/1Aを土台にして、高低2chのパワーアンプとフィルターを内蔵させて現代流の高出力音圧レベルを得ると同時に、マルチアンプならではの解像力の良い鮮度の高い音質に仕上げたのが、このKEFオリジナルの♯5/1ACだ。
瀬川冬樹
ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より
かつてBBC放送局のメインモニターとして活躍し、いまでも一部で現用されているLS5/1Aを土台にして、高低2chのパワーアンプとフィルターを内蔵させて現代流の高出力音圧レベルを得ると同時に、マルチアンプならではの解像力の良い鮮度の高い音質に仕上げたのが、このKEFオリジナルの♯5/1ACだ。
瀬川冬樹
ステレオサウンド 41号(1976年12月発行)
特集・「世界の一流品」より
#5/1ACは、デュアル・チャンネルのパワーアンプとデバイダーを内蔵したモニタースピーカーだが、その原形は1950年代までさかのぼり、英国BBC放送局の研究スタッフと、KEFの社長レイモンド・クックとの長期に亙る共同研究の結果完成したモニタースピーカーLS5/1Aが基本になっている。
LSというモデル名は、BBC放送局で正式に採用されるモニタースピーカーだけに与えられる。中でもLS5/1Aは、NHKでのAS−3001(市販名は2S−305。現在は改良型のAS−3002が主力)に相当するマスターモニターの主力機としてBBCで長期間活躍している。これをもとに、いっそうの耐ハイパワー化と、解像力に優れた現代のモニターに成長させた製品がKEF#5/1ACで、これを機にKEFでは、一般市販用の〝C〟シリーズに加えて、新たに〝リファレンス〟シリーズを作りはじめた。その名のとおり音質比較の基準としても使えるだけの優れた特性のシリーズとして、まず#104が発表され、小型であるにもかかわらずフラットでワイドな周波数特性で世界の注目を集めた。またKEFはこれらのシリーズ開発のプロセスで、コンピューターによる全く新しいスピーカーの測定・解析法を考案し、今ではこの方法が、日本でも多くのメーカーによってとり入れられて成果が上がっている。
104に続いて発表された103は、指向性改善のためにスピーカーバッフルの向きを変えられること、そしてより一層にハイパワーに耐えることに特徴がある。最近になって、さらに進んだ解析の結果ネットワークを改良した104ABを発表したが、低音ユニットと高音ユニットり音のつながりが明らかに改善されて、見事に洗練された繊細で自然な音を聴かせる。イギリスのスピーカーの概してハイパワーに弱い性格はKEFも同様だが、家庭用として常識的な音量で鳴らすかぎり、このこまやかで上品な音質は、音を聴き込んだファンには理解されるにちがいない。
瀬川冬樹
ステレオ別冊「ステレオのすべて ’76」(1975年冬発行)
「オーディオの中の新しい音、古い音」より
イギリスのBBC放送局で、1968年までは全面的に、そして現在でも一部のスタジオでマスターモニターとして活躍しているLS5/1AはKEFの製品で、BBCの研究員と協力してその開発に携ったのがKEF社長のレイモンド・クックである(本誌昨年版参照)。このスピーカーの音の自然さは他に類をみないが、現時点では耐入力及び音の解像力に多少の不満がある。KEFでは約二年前に、同じスピーカーユニットでマルチアンプドライブ式に改造し、MODEL 5/1ACという型番で新らしいスタジオモニターを完成させた。初期の製品は内蔵パワーアンプの歪やノイズの点で不満があったが、今年9月、R・クックが再来日の折に私の家まで携えてきた改良型のアンプに入れ変わって以後の製品は、明らかにBBCモニターを凌駕する音質に改善された。JBLと同じく冷徹なほどの解像力を持ちながら、JBLがアルミニウムのような現代的な金属の磨いた肌ざわりを思わせるならKEFは銀の肌、あるいは緻密な木の肌のようで、どこかしっとりとうるおいがあるところが対照的で、しかもこの両者には全く優劣がつけ難い。
JBLプロフェッショナル・シリーズのモニター・スピーカーの中で、♯4350(本誌昨年版に紹介)ほどのスケール感とダイナミックな凄味には欠けるにしても、同様に周波数レンジがきわめて広く平坦で、音のバランスのよさと音のつながりの滑らかさという点で、♯4341は注目すべき製品といえる。
各帯域のレベルコントロールの調整や設置条件の僅かな違いにも鋭敏に反応するし、カートリッジやアンプに他のスピーカーでは検出できないような歪があっても♯4341は露骨にさらけ出してしまう。レコードにこれほど生々しく鮮烈な音が刻まれていたのかと驚嘆するような、おそろしいほど冷徹な解像力である。そういう能力を持ったスピーカーだから、鳴らす条件を十分に整えなくてはかえって手ひどい音を聴かされる。もうひとつ、スタジオでハイパワーで鳴らしても三ヶ月以上鳴らしこまないと鋭さがとりきれない。家庭で静かに鑑賞する場合は、一年以上の馴らし運転期間が必要だろうと思う。
瀬川冬樹
月刊PLAYBOY 7月号(1975年6月発行)
「私は音の《美食家(グルマン)》だ」より
人間の肉声を、これほど忠実に、また魅力的に再現するスピーカーもない。とくに、女性ヴォーカルの艶っぽさは、古今にその比をみない。演奏会場を、眼前に見る思いともいえようか。イギリス・KEF社の新製品、MODEL5/1AC。パワーアンプ内蔵で予価60万円。この5月以降、日本国内で販売されはじめる。
瀬川冬樹
月刊PLAYBOY 7月号(1975年6月発行)
「私は音の《美食家(グルマン)》だ」より
前記KEFの前面サランネットをはずしたところと、同スピーカー組み込みのパワーアンプ、AD108P。探春で素朴なこの内部から、繊細なひびきが再現されることに驚かない人はいない。スピーカーの四隅をよぎるボードの切れ込みに注意されたい。指向性を良くするためのKEF独特のものだ。
瀬川冬樹
ステレオサウンド 35号(1975年6月発行)
特集・「’75ベストバイ・コンポーネント」より
BBCモニターLS5/1Aをベースに、マルチアンプ組み込みで設計し直した最新型スタジオモニタースピーカー。この優れた音は、こんなスペースでは説明したくない。
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