井上卓也
ステレオサウンド 66号(1983年3月発行)
特集・「コンポーネンツ・オブ・ザ・イヤー賞 第1回」より
901シリーズは、コンサートホールのプレゼンスをリスニングルームで再現する目的で、全域型ユニットを前面に1、背面に8個使用したユニークな構成と、活々とした鮮度感の高い音質で、既に高い評価を得ている。
今回の901SSは、従来の特徴に加えて、業務用システムとして定着し、PAシステムのスタンダード的な存在である802のストレートでダイナミックなサウンドと、モニターシステムとして使えるようにグレイドアップさせた音の、二つの異なったサウンドが、ひとつのシステムで対応できるように開発されたボーズ製品中のトップ機である。
基本構成は901を受継ぐが、エンクロージュアは表面仕上げが変更され、上下にリジッドなダイキャストフレーム、左右に回転可能なウイングが取付けられているのが特徴だ。
専用イコライザーは、高SN比設計のダイレクトリフレクティングとサルーンスペクトラム切替イコライゼーション付の新型である。
エンクロージュアが強化され、イコライザーの性能が向上したため、901と比較しても帯域バランスは一段とフラットになり、分解能が確実に1ランク上がっている。また新しいサルーンスペクトラム使用での明解で音像がグッと前に出るモニターライクな音も新鮮な魅力である。
デジタル時代にマッチした、許容入力の大きさ、直線性はユニット設計の優位性を示し、エンクロージュア内部に吸音材を使わない音響設計は他の追従を許さぬ異次元の世界だ。とくにデジタルソースでの音質は絶品である。
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