菅野沖彦
ステレオサウンド 79号(1986年6月発行)
特集・「最新パワーアンプはスピーカーの魅力をどう抽きだしたか 推奨パワーアンプ39×代表スピーカー16 80通りのサウンドリポート」より
(オンキョー GS-1での試聴)
GS1はやはりアンプの違いをよく出すスピーカーだ。このアンプのもつ脂ののった、こくのある音にスピーカーが豹変する。やや粗さも出るが、この熱気のある音は、特にクレーメル、アルゲリッチのベートーヴェンの、レコードとしては稀に聴ける精気の一貫した流れをもつ演奏に同質の生命力を表現した。メル・トーメの歌が実にバタ臭く、味が一段と濃厚になる。大オーケストラはさすがに、やや濁りのあるトゥッティだった。もう倍のパワーが必要だ。
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