ロジャース LS7

井上卓也

ステレオサウンド 76号(1985年9月発行)

「BEST PRODUCTS」より

 英国ロジャース社のスピーカーシステムには、BBCモニターシステムとして有名なLS5/8、LS5/9、LS3/5Aなどのシステムの他に、一般のコンシュマー用として開発されたスピーカーシステムが数多く存在するが、今回、新製品として試聴をしたモデルは、ドメスティックシリーズとして登場したLS1、LS5、LS7の3モデル中のトップモデルLS7である。
 LS7は、独自のポリプロピレンコーンと超高耐熱ボイスコイルを採用した205mm口径ウーファー、R205ユニットと25mmソフトドーム型セレッション製T1001を組み合わせた2ウェイシステムで、最大入力300Wを誇るシステムである。エンクロージュアは、バスレフ型が採用され、仕上げはチークとブラックがあるが、構造上の特徴として、STUDIO−ONEシステムで開発された特殊ファイバーレジン材が、前後のバッフルに採用してある。
 スピーカーの試聴でつねにポイントになるのが、スピーカーを置く台であるが、ロジャースにはSTUDIO−ONEとLS7用に、スピーカースタンドSS40が別売で用意されているため、ここではこのスタンドを使い聴くことにする。
 使用機器は、このところリファレンス的に使っているデンオン2000Zと3000Zのペアとソニー552ESである。
 SS40は、台の底の部分に鋭い針のような突起部があり、これでカーペットなどを貫通して床に直接スタンドを設置できる構造が特徴である。まず、基本的な間隔と聴取位置からの距離だが、平均的な置き方よりはやや間隔を広く、距離もとったほうが、英国系のシステムでは音場感的にも拡がり定位もクリアーで、いわゆる、見通しのよいサウンドになるようだ。
 LS7は、しなやかで適度に明るく弾む低音と、スッキリと細部を聴かせる爽やかな高音が巧みにバランスした、気持ちよく音楽が聴けるタイプで、物理的特性の高さを基盤としたトランスデューサーとして完成度の高い国内スピーカーシステムとは明確に一線を画した、異なった出発点をもつ、フィデイリティの高いサウンドである。
 左右のスピーカーの聴取者に対する角度は、音場感、定位感をはじめ、音像の立つ位置に直接関係するポイントであるが、わずかに内側に向けた程度が、音場感がキレイに拡がり、見通しもよいようだ。音像定位は小さく、かなり輪郭がクッキリとした特徴があるが、このあたりはSS40のもつキャラクターが適度にLS7の音にコントラストを与えているようで、この種のシステムとしては、中域のエネルギー感がそれなりに感じられるのが好ましい。
 スピーカーケーブルは、同軸、平行線、スタッカートなどの構造およびOFCなどの材料の違いを含め、各種試みてみたが、純銅線採用というISORAのスピーカーケーブルが、トータルバランスが良く緻密さもあり、粒立ちの良い音が楽しめる最終的なバランスは、SS40上での前後方向の位置移動で整えるとよい。中央やや後ろで、表情豊かな雰囲気のよい音になる。

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