デンオン DL-304

井上卓也

ステレオサウンド 75号(1985年6月発行)
特集・「いま話題のカートリッジ30機種のベストチューニングを探る徹底試聴」より

 標準針圧では中域が少し引込み、高域が少し上昇した広帯域型らしいバランスだ。柔らかい雰囲気が好ましく、低域は軟調気味だが、分解能は水準以上だ。針圧上限ではシャープで抜けが長く、最新のMC型らしい、CDに対比できるシャープさ、SN比を持つ音で、音場感、定位も長い。
 針圧下限では音場感型に変わり、爽やかで拡がる音だが、Dレンジは狭く、聴きやすいが少し不満が残る。
 針圧を上限近くで探してみる。1・3gにすると、安定感があり、ややソフトフォーカス気味だが一応のまとまりを示す。上限に上げると急激に焦点が合った印象で、現代MC型カートリッジのスタンダードといえる音になり、この針圧変化は、かなり大だ。
 ファンタジアを聴く。ピアノのスケール感が感じられ、アタックは少し甘いが、プレゼンスに優れる。低域はややソフトだが、十分楽しめる。
 アル・ジャロウは暖色系にまとまり、力不足の音だ。

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