瀬川冬樹
ステレオサウンド 42号(1977年3月発行)
特集・「プリメインアンプは何を選ぶか最新35機種の総テスト」より
仮にも6万円以下で、このアンプよりも鮮度の高い音クリアーな音を、とたずねられればデンオンの501を推すだろう。いくらか線が弱くても柔らかい押しつけがましさのない音をときかれればオンキョーのA5と答える。音の輪郭の目鼻立ちのはっきりしたのが欲しい、となればトリオ7100Dが浮かぶ。
しかし、そうしてあえて口に出すような特徴よりも、すべてのプログラムソースを、そしてどんなタイプのスピーカーやカートリッジを接いでも、一応のバランスの整った,硬すぎず柔らかすぎず、線の細くなくしかも強引でない、ウェットすぎもせずドライすぎもしない、つまり平均点で過不足のない音が欲しいというような、たとえばこれからコンポーネント用のアンプが欲しいというような人に対しては、第一に推薦できる。要するに最も中庸を得た、ある意味では絶妙なバランスポイントにまとめられた、というのがこのアンプの性格だ。
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