オルトフォン T-30

井上卓也

ステレオサウンド 60号(1981年9月発行)
「MCカートリッジ用トランス/ヘッドアンプ総テスト──(下)」より

 トップランクのMC型カートリッジMC30の高性能に対応するため、分割巻線のトロイダルコアを新採用しワイドレンジ化し、各種のインピーダンスのカートリッジにも使えるように3〜48Ωの5段切替のインピーダンスセレクターを備えた汎用型の製品である。
 帯域バランスは柔らかな低域ベースのワイドレンジ型で、音の粒子は細かく滑らかなタイプだ。質的には高い音だが、薄いベール感があるため出力コードを変更してみると、その変化は相当に大きい。デンオン、オーディオクラフト、マイクロなどのコードを組み合わせると、マイクロが最も音にエネルギー感があり、シャープで抜けの良い音である。MC20、FR7f、305ともに個性は抑えるが美しく聴きやすい音だ。

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