井上卓也
ステレオサウンド 60号(1981年9月発行)
「MCカートリッジ用トランス/ヘッドアンプ総テスト──(下)」より
MC10カートリッジの開発にあわせて登場したヘッドアンプで、電源はバッテリー動作。フロントパネルの小型メーターは、ヘッドアンプ出力とバッテリーチェック共用である。
聴感上の帯域バランスは、ヘッドアンプとして無理にワイドレンジを狙わず、スムーズなレスポンスをもったトランス的なニュアンスをもつタイプだ。低域は柔らかく豊かだが、音の芯が弱くソフト。中域は程よい厚みがあり、中高域には少し硬質なところがあり、マスキングのせいか高域はゆるやかに下降して聴こえる。
MC20はそれなりに特徴を出すが、独特の豊かさやしなやかさが今一歩の印象であり、バランスは良いが不満も残る。FR7fにすると低域の力強さはあるがソフトな雰囲気になる。
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