ソニー PS-2500

岩崎千明

スイングジャーナル 10月号(1971年9月発行)
「SJ選定新製品試聴記」より

 今や世界に冠たる日本のステレオ業界は、その隆盛ぶりを誇っているが、そのひとつの現れとして新製品の出ない月はない。毎日のように、どこかのメーカーで新製品発表会が催されている。この秋も、オーディオ・フェアを控えて、またまた多くのメーカーからどっと新製品がファンと関係者の期待と夢をになってくり出されるだろう。
 この秋の新型を予測することは難かしいことではないが、ドル・ショック以来大いにゆれ動くステレオ業界だけに、今後の新型発表のピッチはやはり遅くなることだけは避けられそうもない。今までにもしばしばみられたような、眼を惹くがための商品としてのモデル・チェンジというような姿勢から、実質的な本来の意味の新型へと、商品計画を改めるようにならざるを得ない。逆にいえば、製品の商品としての寿命は長くなるだろうから消費者としては良い商品をじっくり選んで永く愛用するという空気が強められるに違いない。メーカーにとってつらいには違いないがそれはまた好ましいことでもあるのだ。
 さて、こうした眼で今年の新型を考えてみたときに、優良製品として残る71年型オーディオ製品はいったいいくつあるだろうか。このページに採り上げられた数々は、それに対するひとつの答えといえるが、今月紹介する「ソニーPS2500」こそ今年の優秀製品として、今後永くソニー製品としてのブランドをになうべき製品と断言できよう。
 国産オーディオ製品として、ターンテーブルが海外品に劣るという考えは、この3〜4年のうちに急速に解消したが、それでも海外製品より優れた機器となると、やっと今年になって出廻ってきたテクニクスSP10ぐらいなものだ。一般的な製品としてパイオニアのMU41とか、マイクロのターンテーブルなどコストパーフォーマンスとしてはずばぬけた製品であっても、絶対的な優秀さを誇ると断定するにはいささかためらわざるを得ない。
 ソニーの新型プレイヤーは、このためらいを一挙に取除いてしまった。それはまず、ダイレクト・ドライブ機構ターンテーブルにある。このダイレクト・ドライブ機構のアイディアは、電池式かべ掛け時計の廻転機構に発する。だから、それを実際に具体化するのは、メーカーの技術力とその速度にかかっていたわけだ。
 テクニクスが他社にききがけて高級製品の製品化に成功したあと、トランジスタ技術では世界にその名を轟かすソニーがほほ同じメカニズムのターンテーブルを完成したのは、当然といえば当然であった。しかし商品としてみた場合、ソニーのダイレクト・ドライブ・ターンテーブルは、まったく強力な商品であるといえよう。その価格といい、プレーヤーに仕立て上げて同時発売という商品企画と布陣の展開のすばやさといい、ソニーのこの新製品に対す熱意と姿勢は眼をみはるほどだ。
 DD機構のこのターンテーブルは、オーディオ・メーカーの一方の雄…ソニーをしてこれだけの強力な布陣も当然といえる10年ぶりの優秀製品なのである。DD機構そのものについては、すでに優秀性を多く伝えられているので改めて記するまでもない。
 おそらく、10年後は優秀ターンテーブルといえるものは、海外製品を含めて全てこのメカニズムになってしまうに違いない。
 これを組込んだプレイヤーが、アーム付きでなんと59、800円という価格は、まったく信じ難いといえる。
 ただただ難点をいえば、このターンテーブルの驚異的なメカニズムとその性能に対し、アームは数年来の製品を改良したにとどまったものを併用している点である。改良されたとはいえ、このアームの扱い難さに不満をおばえてしまう。

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