岩崎千明
スイングジャーナル臨時増刊モダン・ジャズ読本 ’73(1972年秋発行)
「理想のジャズ・サウンドを追求するベスト・コンポ・ステレオ28選」より
●組合せ意図及び試聴感
LE8Tを愛用するハードなジャズ・ファンであるキミのため岩崎千明の名にかけて決定的な組合せをまとめた。
これだ!! スピーカーにSP505J、つまりサンスイ−JBLが6年ぶりに発表する野心作、SP−LE8Tのハイグレード版がこれだ。
中味は30センチ・フルレンジD123、つまりLE8Tの大口径ハイ・パワー型のユニットだ。同時に発表した、、おなじみD130のバック・ロードホーン入りの方に、よりなじみと魅力とを感じるが、これは家庭用というには、やや大げさすぎ、よほどのマニアでなければ、というところ。むろん、キミにスペースとふところのゆとりさえあれば、このSP7070Jも推めておく。
LE8Tを一度、手元において愛用するとジャズを聴くかぎり、もうこれ以外のスピーカーには、ちょっと手を出しにくくなる。そうかといってグレード・アップする場合に、さんざん困っていたはずだ。しかし、もうこれからは解消したのだ。
スピーカーについて、いろいろ述べることはなかろう。中味はJBLの大口径フルレンジ型で、箱はサンスイの手になりJBLが認めたチューンド・ダクト型だ。
アンプは、当然このJBLスピーカー・システムを、もっともよく鳴らすべき製品、ということでサンスイの新シリーズAU7500だ。万事控え目のサンスイにふさわしく、あまり目立たぬ存在といわれるが、黒く引き緊ったやや小柄の外形からは想像つかぬほどのハイ・パワーとハイ・パフォーマンスだ。0・1%歪率という値は、実用範囲でおそらくひとけた上の、つまり数倍の価格の海外製にもひけをとらぬ高性能のデータも、使用するうちにうなずけよう。単純にいえば、ずっしりとこのアンプの重いことからも中味の充実ぶりは誰にでも判るのではないか。
この7500の上にもうひとつ9500が登場するが、一般用と考えれば、JBLシステムの高能率で7500で十分。
さて、この豪華にしてぜいたくなシステムを、より豊かにするため、4チャンネル・システムを想定した。
もしLE8Tを持っているのなら、そのままリア用スピーカーとして流用でき、アンプはサンスイ・デコーダーQS100が最適。リア用パワーアンプが内蔵されAU7500のテープ・モニター端子に接ぐだけのことで、完全な4チャンネル・コンポーネント・システムとなる。
カートリッジはオルトフォンM15スーパーをスペアに、チューナーにはAU7500と同じデザインのTU7500。
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