ソナーブ OA-12(組合せ)

岩崎千明

コンポーネントステレオの世界(ステレオサウンド別冊・1976年1月発行)
「スピーカーシステム中心の特選コンポーネント集〈131選〉」より

 このスピーカーの良さはちょっと一言では表わせない。いうならば、広範囲に拡散された音の壁面に反射する間接音が、室内の広さ以上に、音響空間を拡大してくれ、生の音楽の現場としてのホールのプレゼンスが見事。米国製スピーカー〝ボーズ〟のようなエネルギー的なものよりも雰囲気としての再生ぶりが思いもよらぬすばらしい効果をもたらす。
 このソナーブのシステムではこうしたいわゆるオーソドックスな再生サウンドとは異質な、例のない雰囲気の再生ぶりに気をとられて、つい再生の本質的クォリティを見失いがちになってしまうものだ。
 そこでまず、なによりも純粋な形でのクォリティを狙うべきである。そうしたとき、ヤマハのCI、BIは価格的に誰にも奨められるわけではないにしても、心強い存在だ。
 ソナーブの透明な美しい響きは、このCI、BIの鮮明度の高い豊かな色彩で、より高い音楽性をひきだし得よう。楽器のパワフルなソロをのぞむというのでなければ、このシステムのもたらすサウンドの質のレベルの高さは、ちょっと他には得難いものであることは確かだろう。

スピーカーシステム:ソナーブ OA-12 ¥178,000
コントロールアンプ:ヤマハ C-I ¥400,000
パワーアンプ:ヤマハ B-I ¥335,000
プレーヤーシステム:デュアル 1229 ¥79,800
カートリッジ:オルトフォン VMS20E ¥27,000
計¥1,019,800

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