菅野沖彦
ステレオサウンド 10号(1969年3月発行)
特集・「スピーカーシステムブラインド試聴」より
明るく柔らかく、よく前へ音が出て気持がよい。ただ、ベルリン・フィルのような充実した渋味のある音色には、やや軽い味つけがされて気にならないでもない。恐らく、重厚な音を望まれるクラシック・ファンには向かないだろう。反面、明るい南欧風の好みにはぴったりで、とてもよく鳴り響く。そして、ぎりぎりの所で暴れがおさえられているのも音づくりが巧みである証しだ。中域の軽い鳴きがおさえられ、重い低音感が加われば完全だ。
0 Comments.