菅野沖彦
ステレオサウンド 31号(1974年6月発行)
特集・「オーディオ機器の魅力をさぐる」より
こんな古い特性の悪いカートリッジは、いかに過去の最高級品とはいえ、技術的に見れば取り上げることにためらいを感じるのが当然だ。しかし、現在入手可能だということと、その音の味わいが、現在のハイ・コンプライアンス・カートリッジのもつ、音のボディの欠落の傾向への警鐘としても価値があると考え、あえて、ここに取り上げる。とにかく、この音は理屈には叶わなくてもいい、堂々とした充実感が大きな満足感を与えてくれる。
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