瀬川冬樹
ステレオサウンド 37号(1975年12月発行)
特集・「スピーカーシステムのすべて(下)最新40機種のテスト」より
左右のスピーカーの置き方と聴取位置の関係を正しく選ぶと(36号96ページの図d)、ステレオのひろがりと定位と奥行きを、みごとに展開して聴かせる点、やはりSB7000の兄弟の良さだ。音のバランスは、低音から高音までの出っ張り引っこみをよくおさえて、やかましさの少ない、欠点の指摘しにくいところまで仕上っている。価格の割にキャビネットの大きいせいもあるためか、国産のローコストグループの中では、低音も豊かだし音にふくらみも適度の艶も一応あって、楽しめる製品といえる。ただ、オーケストラでもソロでも、ベースの低音域あたりにやや箱鳴り的な締りのない色がついて自然感を損ないがちで、フロアータイプだがブロック1~2個分高く上げた方がいい。背面もあまり壁に近づけない方がいい。もうひとつ、価格からみて仕方ないかもしれないが、音の輪郭がたとえばコンテかパステルで描いた線のようにケバ立ってクリアーさを欠く傾向があって、他の面が良いだけに音の質感がもう一息、といいたい。
採点:88点
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