アカイ ST-301

瀬川冬樹

ステレオサウンド 29号(1973年12月発行)
特集・「最新ブックシェルフスピーカーのすべて(下)」より

 大柄のトールボーイ(背たかのっぽ)型だから低音もかなり豊かに弾むのではないかと思ったが、意外にそれほどではない。総体にやかましい音をよく取り除いてやわらかく耳あたりよくまとめた作り方だが、音の芯がやわらかすぎるというか、少しふかふかしすぎる鳴り方だから、どちらかといえばバックグラウンド的な聴き方を意図していると思われる。したがって、ブックシェルフ一般の使いこなしのように台の上に乗せるよりも、中~高域のバランスなどうるさいことを言わずに床の上に直接置くぐらいの方が、低音もよく出てくるのでバランスの良い音が聴ける。女性ヴォーカルやヴァイオリンのソロなどでは、中~高域も、(ややひっこんだ感じながら)けっこうやわらかく適度の艶も感じさせるし、オーケストラも小音量では一応きれいなハーモニーも聴かせるのだが、パワーに弱く、フォルテでは音が濁るし、低音も箱鳴りが相当に派手なためにいささか締りを欠く。いわゆるハイファイ・スピーカーとして評価したら欠点の方が多そうだが、ムード的に小音量で聴き流すという作り方のようにおもえるのでそういうつもりで評価した。

周波数レンジ:☆☆☆
質感:☆☆☆
ダイナミックレンジ:☆☆☆
解像力:☆☆
余韻:☆☆
プレゼンス:☆☆
魅力:☆☆

総合評価:☆☆★

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