瀬川冬樹
ステレオサウンド 16号(1970年9月発行)
特集・「スピーカーシステム最新53機種の試聴テスト」より
ブックシェルフ・タイプとしては、キャビネットがわずかながら大きめのためか、中域から低域にかけてふくらみを持った、量感のある音を響かせる。中高域以上をおさえてあるので、うるさいという音はあまり出てこないが、半面、音源が遠くの方で鳴る感じで、ホール・トーン的というか、音が距離感を持って鳴る。低域の質と豊かさは、なかなか悪くないと思う。つまりボッテリ型で、打てば響くような敏感さではなく、丸い甘い、ムード的な音質である。
低域のよく出る感じは、箱鳴りもいくぶんあるようで、アラ探し的な聴きかたをすれば、もっと音に締まりがほしいし、キャビネット自体が響きすぎるようにも思われる。そのためか、音がかぶった感じで総体に品位をやや損ねている。外観は少々凝りすぎといった印象。音もまた、外観同様に重々しく飾った感じである。
採点表
大編成:★★
小編成:★★
独奏:★★
声楽:★★★
音の品位:★★
音のバランス:★★
音域の広さ:★★★
能率:★★★
デザイン:★★
コストパフォーマンス:★★
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