ビクター BLA-205

瀬川冬樹

ステレオサウンド 16号(1970年9月発行)
特集・「スピーカーシステム最新53機種の試聴テスト」より

 ビクターの場合も、トリオなどと同様に今回の新シリーズから、従来の製品と性格を一変させて、一貫したポリシーがどの製品にも共通してあらわれてきた点はみごとである。たとえば新しいダイアフラムや、米松合板のキャビネット、羊毛混紡の吸音材など、セールスポイントも豊富だが、その成果が音質の上にも反映して、ナチュラルで聴きやすい、おとなしい音質に統一された。BLA205は、シリーズ中でも最もローコストの製品だが、構成が小規模なためかやや抑えすぎた感じで、たとえばコーラスなど唱っている人数が減る感じがしたり、ヴォーカルがややラジオ的な響きにこもるなど、2~3の弱点はあるものの、市販品に最も多い二万五千円グループの中では目立ったクセの少ない使いやすい製品のひとつといえる。平均的優等生、といった感じのスピーカーだろう。

採点表
大編成:★★★
小編成:★★★
独奏:★★★
声楽:★★★
音の品位:★★★
音のバランス:★★★
音域の広さ:★★★
能率:★★★
デザイン:★★★
コストパフォーマンス:★★★
(準推薦)

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