デンオン DL-107

瀬川冬樹

ステレオサウンド 12号(1969年9月発行)
特集・「最新カートリッジ40機種のブラインド試聴」より

 ハイ・エンドのしゃくれ上がりは感じられないが、中高域がやや張り出し気味で、スクラッチノイズがわずかながら耳につく。こういう特性のためか総体にやや派手な、明るい印象を受ける。オーケストラは多少勇ましいという感じがあり、ピアノはきらびやかでタッチが軽く、打鍵もしっかりして切れ込みが良い。しかし弦合奏のユニゾンがややうるさく、合唱では特に中高域の張りが目立ちすぎ、内声部の温かみも欠け、ロスアンヘレスの声は、何となくハスキーがかる……というように、音のバランス上難点があった。音の性質(タチ)そのものはそう悪い方ではないのだから、おそらくもっと良くできるカートリッジのはずだ。

オーケストラ:☆☆☆☆
ピアノ:☆☆☆☆★
弦楽器:☆☆☆
声楽:☆☆☆★
コーラス:☆☆☆★
ジャズ:☆☆☆★
ムード:☆☆☆
打楽器:☆☆☆☆
総合評価:75
コストパフォーマンス:80

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